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2010年08月15日号のバックナンバー
フォーカス
すべては海続き──瀬戸内国際芸術祭
[2010年08月15日号(白坂由里)]
暑さは堪えるが、アートの船旅は気持ちがいい。直島をはじめ、豊島、女木島、男木島、小豆島、大島、犬島といった瀬戸内海の7つの島と高松市街地を舞台に、国内外75組のアーティストが出品した「瀬戸内国際芸術祭」が開催中だ。人口が減少し、高齢化が進む島々に活力を取り戻そうとする取り組みである。
キュレーターズノート
瀬戸内国際芸術祭2010/束芋:断面の世代/横尾忠則全ポスター
[2010年08月15日号(植松由佳)]
前回、金沢21世紀美術館で開催中の展覧会「Alternative Humanities 〜 新たなる精神のかたち:ヤン・ファーブル×舟越桂」について触れた。ヤン・ファーブルのことで、いつも思い出すことがある。2001年に丸亀市猪熊弦一郎現代美術館で彼の個展を企画開催し、展覧会の会期なかばに行なわれた対談のために来館したときのことだ。JR丸亀駅前にある美術館を出て、全国津々浦々どこの街にも見られるシャッター商店街を歩きながらファーブルは言った。日本で初めての個展なのに、どうして東京や大阪といった大都市の美術館で開催されないのかと思った。でもアントワープから関西空港に降り立ち、電車を乗り継いで丸亀に着いてよくわかった。美術館に来るまでのこのパサージュこそが重要なのだ、遠来の鑑賞者にとっては特に、と。瀬戸内国際芸術祭のオープニングに高松に向かったとき、この会話を思い出した。
HEAVEN──都築響一と巡る社会の窓から見たニッポン/大竹伸朗『NOTES 1985-1987』
キッズコーナー 森のたね
[2010年08月15日号(山口洋三)]
前回の私の記事で、私は「嬉野武雄観光秘宝館」を取り上げた。去る5月29日に福岡市美術館にて開催された都築響一講演会のための予習の意味もあったが、それに加え、「そのうち見に行こう」というあまりに不安定かつ不確定的予定を、これを機会に確定させたかったというのもある。学芸員としての身近な例でいえば「そのうち見に行こう→結局行かず、展覧会終了」「そのうち会いに行こう→結局行かず、作家死去」、といったことを、何度か経験して苦い思いをした。対象への興味の度合い、専門性との兼ね合いの問題もあるのだろうが、割合近所にあるものであれば、行動するしかない。