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2015年04月01日号のバックナンバー
フォーカス
フィルハーモニー・ドゥ・パリ初の展覧会「David Bowie is」展
[2015年04月01日号(栗栖智美)]
2013年にロンドンのヴィクトリア&アルバート美術館で開催され、開館以来最多の動員数を記録、前売り券が即完売し話題騒然となったイギリス人スター、デヴィッド・ボウイのフランス巡回展に行ってきた。
会場は、パリ東北に位置するラ・ヴィレット公園内に1月オープンしたばかりのフィルハーモニー・ドゥ・パリ。ジャン・ヌーヴェル設計の巨大なコンサートホールは、未完成でまだところどころ工事中であったが、この新しくできた音楽の殿堂で開催される初の展覧会を一目見ようと会場はごった返していた。
キュレーターズノート
「繋ぐ術 田中忠三郎が伝える精神」/「成田亨 美術/特撮/怪獣」
[2015年04月01日号(工藤健志)]
ある事柄、ある物、ある人に対する「評価」はけっして普遍的なものではない。それは時代とともに変化し、切り取る角度によってまた違った評価を生む。至極当たり前のことである。それは「価値観」と言い換えることもでき、ほんらい各人の思考のなかにそれぞれあるべきものなのだ。ゆえに議論が生じるし、時としてそれは戦争という悲劇にもつながっていく。ある評価に対して嫉妬の感情を抱いたり、主観的にしか過ぎない価値を絶対と信じて他者へ押しつけたりと、「評価」と「価値」は人によって異なるものだという基本的認識がなければ、それは対立や悪意を生む元凶となってしまう。だからといって評価を均質化させることは無意味であろう。それぞれの人間の思考、感情、態度の差異こそが世界を多様性のある豊かなものへと導いていくのだから。だからこそ、(吉田健一が言うように)周囲に流されず自らの判断による評価、価値を信じ、自らの生活を美しくしていく態度が肝要なのだ。
メルド彫刻の先へ[彫刻と記録]/「Art Meets 02 大西伸明/相川勝」/「小泉明郎:捕われた声は静寂の夢を見る」
[2015年04月01日号(住友文彦)]
アーティストは作品をつくるだけでなく、見る者の体験もつくる。学芸員は展覧会づくりを通して、作品が時間や空間に関わることにつねに意識を向けているはずだが、アーティストがつくる時間と空間の体験から、美術館における鑑賞体験を振り返ることも少なくない。どんな作品であってもそれを取り巻く時間や空間に目を凝らすと、一個人がつくり上げた作品を超えて、歴史や他者と美術がどう関わり合うのかを考えさせられる。