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2015年07月15日号のバックナンバー
フォーカス
ディン・Q・レ──記憶は体にひそみ、運ばれ、ときに表出する
キュレーターズノート
「月が水面にゆれるとき」「もの派」「エンリコ・カスッテラーニと李禹煥」「ルチオ・フォンタナへのオマージュ展」ほか
[2015年07月15日号(中井康之)]
昨年本欄で取り上げた展覧会「無人島にて」を企画した長谷川新による同展開催趣旨文のなかで、90年代末頃迄にインスタレーションという美術用語が用いられなくなったのは「インスタレーション」が「インストールされきった」ことによるという解釈が示されていた。同趣旨に沿って説明するならば、同展は1979年から1997年という期間に措定された80年代の日本美術を再考するためのキーワードとして「インスタレーション」という美術用語を再浮上させることを企図した展覧会であった。
大分県立美術館「みんなの土曜アトリエ・体験から鑑賞まで」
[2015年07月15日号(坂本顕子)]
今年の4月にオープンし、早くも今月、来場者20万人を突破したという大分県立美術館(OPAM)にようやく足を伸ばした。もちろん、訪問の大きな目的は、開催中の開館記念展Vol.1 モダン百花繚乱「大分世界美術館」でもあったが、個人的には、教育普及活動を見ておきたいと思ったからだ。
トピックス
パウル・クレー だれにも ないしょ。
[2015年07月15日号(柘植響)]
スイス出身の画家、パウル・クレーはどこか謎めいている。画面全体に記号や符号が踊る絵、色面で分割・構成された抽象的な作品もある一方で、簡潔な線で描かれた天使や猫といった童画のようにイメージを純化させた作品もある。さまざまな表現手法や実験的な試みのなかに隠されたクレーの秘密。作品を知れば知るほど謎が深まっていくのだが、それがクレーの最大の魅力だ。「だれにもないしょ。」と展覧会のサブタイトルにあるように、本展は画布に秘められた、「クレー・コード」と真っ向から向き合い、画家が仕掛けた暗号を解き明かしながら作品の全貌に迫る企画だ。