バックナンバー
2021年10月01日号のバックナンバー
フォーカス
【NY】アメリカ現代社会を投影するダウッド・ベイの写真──Dawoud Bey: An American Project
[2021年10月01日号(梁瀬薫)]
「Dawoud Bey: An American Project」展はホイットニー美術館とサンフランシスコ近代美術館の共同開催によるアフリカ系アメリカ人写真家ダウッド・ベイの回顧展で、2021年度ニューヨークの美術館展覧会では主要な展覧会のひとつとなった。昨今のBlack Lives Matter(BLM)に関連する社会的なメッセージを特に軸にしたわけではなく、正統的で上質な写真展としての評価が高い。本展では1975年から2017年までの40年以上のキャリアから約80点の代表的な作品群が一堂に集結し、存命しているアフリカ系アメリカ人写真家では初めての大規模な回顧展となった。
キュレーターズノート
コロナ禍でも「さわる」展示を──「ケレ ヤン、ヌカㇻ ヤン、ヌ ヤン さわる、みる、きく、国立アイヌ民族博物館」を開催して
[2021年10月01日号(立石信一)]
「ケレ ヤン、ヌカラ ヤン、ヌ ヤン さわる、みる、きく、国立アイヌ民族博物館」展は、2021年8月21日から9月12日までの会期を予定にスタートした。コロナ禍の現在にあって、あえて「さわる」ことをテーマとした展示を行なうことに少なからぬ懸念はあったものの、無事に開催できたことは喜ばしいことであった。ところが、オープンした直後に北海道にも緊急事態宣言が発出されることとなり、それに伴って8月31日から国立アイヌ民族博物館を含むウポポイ(民族共生象徴空間)の休館及び休業が決定した。当初は緊急事態宣言の期間が9月12日までとされていたが、その後、9月30日までの再延長となり、原稿を執筆している現在でも休館中となっている。上記の展示はオープンして一週間で休館となってしまったため、ウポポイ再開時には会期を延長する方向で調整中である。この機会に、本稿では同展のねらいや内容について説明しておきたい。
鳥取のアーティスト・イン・レジデンス・プログラムについて
[2021年10月01日号(赤井あずみ)]
近年の鳥取アートシーンの特徴を挙げるとすれば、欠かすことができないのがアーティスト・イン・レジデンス(以下、AIR)の活動である。2014年、2015年に開催された「鳥取藝住祭」という名称の芸術祭について耳にしたことのある方もいるかもしれない。筆者が関わるアート・プロジェクト「HOSPITALE」もまた、AIRをプログラムの柱のひとつとして展開してきた。今号ではそれらの現況について、背景や動向も踏まえつつ紹介したい。