バックナンバー
2014年05月01日号のバックナンバー
フォーカス
モビリエ・ナショナル:Les Gobelins au siècle des Lumières──Un âge d’or de la Manufacture royale展/Carte Blanche à Pierre et Gilles展
[2014年05月01日号(栗栖智美)]
フランス・パリにある、ゴブラン織ギャラリー(Galerie des Goblins)では、この春から、2つの展示が同時開催されている。ひとつは、ギャラリーを運営する「モビリエ・ナショナル」(フランス国有動産管理局)のゴブラン織のコレクション展。もうひとつは現代アートのインスタレーション展だ。この、一見無関係そうな2つの展示を成立させている背景には、いったい何があるのだろうか。「モビリエ・ナショナル」の歴史をふりかえりながら、考えてみたい。
キュレーターズノート
北海道の美術家レポート④端聡
[2014年05月01日号(岩﨑直人)]
北海道にしっかと根を下ろして活動するアーティストは数多い。そのなかでキラッと光彩放つ実力者もまたあまたいるから、この地は興味深い。本連載では、年齢性別ジャンル等一切問わず、独断で、しかし、おおいに賛同を得られるであろう優れた作家とその作品を取り挙げ、紹介していきたい。
三嶽伊紗のしごと──みているもののむこう
[2014年05月01日号(川浪千鶴)]
見ること、在ることについて、これほど考えを巡らせたことは近年なかったかもしれない。徳島県立近代美術館の「三嶽伊紗のしごと」展会場を初日に訪れて、そう思った。
高知市出身で滋賀県大津市を拠点に活動しているアーティスト三嶽伊紗(みたけ・いさ)は、私たちがどこか高を括ってきた「見る」こと、「在る」ことについて、静かに、しかしはっきりとした問い直しを投げかけている。
トピックス
アメリカ現代美術の巨匠達──CCGA現代グラフィックアートセンター所蔵版画名品展 レビュー
[2014年05月01日号(小吹隆文)]
1973年に開館した奈良県立美術館は、日本の公立美術館のなかでも歴史のある館である。同館の館蔵作品数は約4,200点。その中核は、風俗史研究家で日本画家の吉川観方が収集した江戸時代の日本画、浮世絵、工芸品のコレクション、近世日本画と浮世絵の由良コレクション、戦後日本の現代美術の大橋コレクション、奈良ゆかりの陶芸家・富本憲吉や、関西を拠点に活動した具体美術協会の作品が占める。つまり、近世から現代までの国内美術史をバランスよくフォローしているということだ。ただし、過去に行なわれた特別展を振り返ると、その多くは近世・近代の日本美術、洋画、工芸の展覧会であり、現代美術展はあまり行なわれていない。関西の美術ファンの間でも、同館が現代美術に熱心な館だと考える人は少ないだろう。
そんな奈良県立美術館が、今年の春と夏に「国際現代アート展なら2014」と題し、2つの現代美術展を連続して開催する。文化的に保守的な印象がある奈良で、現代美術に触れる機会が増えるのは結構なことである。今回は、その第1弾である本展を取り上げる。