バックナンバー
2014年05月15日号のバックナンバー
フォーカス
映画/映像のメディウムを読み直す(「映画をめぐる美術──マルセル・ブロータースから始める」展レビュー)
[2014年05月15日号(阪本裕文)]
美術館の展覧会において映像作品や、映像を使用したインスタレーション作品が展示されることは、今やありふれた光景となっている。1990年代後半あたりから増加したこのような傾向は、制作環境の変化から見ると、ノンリニア編集やビデオプロジェクターの普及といった要因によって促されたものだと言える。この「映画をめぐる美術──マルセル・ブロータースから始める」と題された展覧会も、一見すると、そのようなありふれた映像作品の現状を紹介する企画展の一種であるように思われるかもしれないが、そうではない。本展は、虚構の美術館である『近代美術館 鷲の部』シリーズで知られている、マルセル・ブロータースが提示した映画をめぐる思考を参照しながら、映画あるいは映像──以下、本文中では包括的な意味において、便宜的に映画/映像と表記する──を美術の制度内において検討するという、極めて批評的な視点を持った企画展となっている。
キュレーターズノート
アトリエ・ワン:マイクロ・パブリック・スペース、中村好文:小屋においでよ!
[2014年05月15日号(鷲田めるろ)]
気候が湿潤な地域から提起される建築のあり方とは──。ギリシャ、ローマを起源とし、いまや世界を覆い尽くす西洋建築を乾燥した「地中海主義」の建築とするならば、それに対抗する概念として、日本などアジアの湿潤な地域から「山水主義」的な建築を構想できるのではないか。アトリエ・ワンは、3年ほど前からこのような考えを表明し始める。
東京・ソウル・台北・長春──官展にみる近代美術、成田亨 美術/特撮/怪獣──ウルトラマン創造の原点、嬉野観光秘宝館閉館
トピックス
国立西洋美術館「ジャック・カロ─リアリズムと奇想の劇場」──美術の見かたをより豊かにするデジタル鑑賞ツール「みどころルーペ」の導入
[2014年05月15日号(artscape編集部)]
2014年4月8日から6月15日まで、国立西洋美術館にて「ジャック・カロ─リアリズムと奇想の劇場」が開催されている。ジャック・カロ(1592-1635)は、西洋美術史を代表する版画家のひとり。今回の展覧会では、国立西洋美術館のコレクションをもとに、彼の初期から晩年までの活動の軌跡を、年代と主題という二つの側面から紹介している。展示された約220点の作品から、カロの独特の版画の世界を見ることができる。