バックナンバー
2014年08月01日号のバックナンバー
フォーカス
アートと空間の自由で多様な関係
[2014年08月01日号(多田麻美)]
アートが常識を踏み越えるとき、その常識が目に見える「空間」であれば、その印象は鮮烈なものとなりやすい。「踏み越えること」そのものによって、その空間が祝祭的な意味合いを帯びることもある。
例えば、同一の空間で、来場者がそれぞれ好きな絵を描く、というのは、容易に想像ができる。だが、不特定多数の観客が、3カ月を超える長期間にわたり、広い壁や床にいくらでも自由に描く、となるとその結果はちょっと想像し難い。
また、多くの参加者がひとつのアート空間で自由に交流するというのも、よくあることだ。でも、そこで飲み食いや寝泊まりやスポーツまでしていい、となると、少し想像の域を超えてしまう。
実は、これらはいずれも北京でこの春から夏にかけて実施され、人気を集めた試みの一端だ。チャレンジ精神と遊び心で常識や既成の関係を軽々と打ち破ったプロジェクトの数々は、現代社会における個人と空間や環境の関係、人と人の関係などをめぐるさまざまな思考を促した。
キュレーターズノート
北海道の美術家レポート⑤Sprouting Garden(スプラウティング・ガーデン)[前編]
[2014年08月01日号(岩﨑直人)]
「札幌国際芸術祭2014」が始まった。坂本龍一氏がディレクターとして迎えられ、「都市と自然」がテーマに据えられ、日本の近代化と北海道の歩みを照らし合わせつつ、人々のこれからのあり方を問う壮大な企画となっている。
ゴー・ビトゥイーンズ展──こどもを通して見る世界
[2014年08月01日号(川浪千鶴)]
この展覧会は子どもをテーマにしてはいるが、子ども向けではない。可愛いわかりやすい作品満載でもなければ、昔、子どもだったおとなたちへ贈るといったノスタルジックな口上付きでもない。これは現代を生きるおとなのための展覧会、おとなが「生きる力」を取り戻すための展覧会である。東日本大震災以降の世界に暮らす私たちは、ぼんやりとした影のような不安をつねにまとっている。美術館は鑑賞教育を通じて子どもたちが「生きる力」を得ることに貢献できると私はこれまで何度も語ってきたが、いま「生きる力」は子どもだけでなく、おとなにこそ必要なのかもしれない。
トピックス
ルーヴル美術館 ルイ14世からルイ16世までの美術工芸展示室リニューアル──王侯貴族の生活空間を再現したピリオドルーム
[2014年08月01日号(栗栖智美)]
約10年にわたる改修を経て、ルーヴル美術館の18世紀美術工芸展示室が、2014年6月6日リニューアルオープンした。第33展示室から第65展示室まで、2,183m2の広さの33の展示室には、2,000を超える作品が展示され、当美術館は、ルイ14世治下から18世紀までのフランス美術工芸において、世界で最も充実したコレクションを誇ることとなった。
CCGA現代グラフィックアートセンター「20世紀モダンデザインの誕生」:年表と映像とを組み合わせた鑑賞補助システムを導入
[2014年08月01日号(森﨑陵子)]
2014年7月5日から9月7日まで、CCGA現代グラフィックアートセンターにて「20世紀モダンデザインの誕生─大阪新美術館建設準備室デザインコレクション」を開催している。本展では、日本屈指のデザインコレクションを誇る大阪新美術館建設準備室所蔵のグラフィックデザインの名作を通して、1920〜30年代にかけての発展期から、1960年代の成熟期までを中心としたモダンデザインの流れを追っている。