森美術館で開催中の「アーキラボ:建築・都市・アートの新たな実験展1995-2005」の関連パブリックプログラム・レクチャーシリーズ「建築が動く時」第2回「美術館建築の今」を聴講する。会場は満席。50人はお断りしたと嬉しい悲鳴が冒頭の挨拶で披露されていた。それでも講演中にどんどん椅子が追加される盛況ぶり。ま、ムリもない今日の講師陣は、青木淳と西沢立衛氏。当初は妹島和代さんが登壇し、いわゆる青森県立美術館VS金沢21世紀美術館の図式の中から、まさにテーマとして掲げている「美術館建築の今」を探るねらいの組み合わせだった。でも妹島さんが熱をだされ急遽、ピンチヒッターとして1995年から共同設計者としてユニット「SANAA」を組むパートナーの西沢立衛氏が代役を務めることに。40分間の二人のレクチャーは魅力的だった。青木淳さんは水戸芸術館を導入部に、2002年の東京国立近代美術館《U bis》や2004年の水戸での《大和薬品》といった作品を経て、本命の青森県立近代美術館までを、写真、フィルム、アニメーションを使った無駄のない40分間の理路整然とした講義を展開。青木淳の意識する問題、課題が本人がどのようなプロセスを経て検証し具体的に落とし込む行為を行っているのかを平明に論じるものであった。つまり個別の建築(設計)の説明というよりは、青木淳の持つ世界観を披露することに力点が置かれた秀逸な構成であった(明日の自分の講義もこのような組み立てとこのような周到な準備をもって望むべきなんだと密かに反省。でももう手遅れだ。今用意してあるもので望むしかない)。そんな僕のよそ事に関係なく会場では、休憩なく引き続き、西沢立衛さんが2面のスクリーンを使い、ここ最近の7本のプロジェクトをテンポ良く紹介していく。軽快な語りで各プロジェクトとその進捗状況、そしてそのプランの発想・着想の源泉の説明がなされていく。時代の感性をキャッチアップし、それを具体的に落とし込む手法を確立している旬の人が持つ勢いを感じさせる。中国で設計しているマンションの1戸サイズが600平方メートルのプランにおける発想にはなるほど感心し、広いとはそう言うことかと妙に納得。