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MORI channel|水戸芸術館現代美術センター学芸員・森司によるブログ。学芸員の日常や最新のアートニュースを伝えます。
2005.11.10

気づき名人

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今日も青空。それでも日が暮れてくるとグッと冷え込むように水戸はなる。アンコウ鍋は(早ければ)11月中旬頃から「お品書き」に登場するはず。もうしばらく、初アンコウはお預け。


いつものように、ミュージアムショップに足を運ぶとジャン=リュック・ゴダール「GODARD」(エスクァイア マガジン ジャパン)が届いていた。帯には、「2001年度増補改訂新版を、更に改訂。現時点における決定版」とある。見るべき映画で、これほど読むこと(語られること)はない。美術だと誰だろう。デュシャン関連の本があると手にしているから、デュシャンかな。


書類の処理を事務局で待っていたら、夕刊が届く。何気なく手にした日経の1面の「あすへの話題」欄で、今や大ブレーク中の脳科学者・茂木健一郎さんが「セレンディピティ」をキーワードに「恋人との出会いとノーベル賞」と題したコラムを書いているのを目にする。ブログで「クオリア日記」を書いている茂木さんとは、「日比野克彦の一人万博」の準備期間中の2月19日、アーカスプロジェクトが主宰したお二人の対談会場で紹介され会った。残念ながら日比野展で茂木さんとご一緒することは出来なかったけど、そんなこともあり、その時から僕の気になる人の一人になった。そんな茂木さんは8月に第4回小林秀雄賞(新潮文芸振興会主催)を『脳と仮想』で受賞し、何時だったか忘れてしまったがアエラの表紙となっていた。今や美術関係プログラムの講演者として、頻度高くその名を案内に見る。


で、「セレンディピティ」です。
『セレンディピティ(偶然幸運に出会う能力)は、鍛えることのできる能力なのである。まずは、行動を起こすことが肝心である。待っているだけでは幸運は訪れない。また、注目すべき出来事が起こったとき、それに気付き、受容することが大切である。』 と寄稿の論は進み、 『行動し、気付き、受容する。まるで素敵な恋人との出会いのようである。実際、セレンディピティに着目すると、「恋人との出会い」と「ノーベル賞級の発見」には、多くの共通点があることが見えてくる』と結ばれる。


これを読んで、僕がすぐに思いつく人物が、先の対談相手である日比野克彦さん。まさに彼のワークショップ・プロジェクトは、何かに出会うための「先ずのアクション」が必ずある。その会話を通した「先ずのアクション」でヒットした突破口の瞬時の掴みと、その後の展開の鮮やかさを、この夏は幾度となく目の当たりにした。そう、日比野克彦さんは、間違いなく、「セレンディピティ」能力に長けた「セレンディッパー」(serendipper=気付きの達人)の一人だ。


夕方、館を出ようとしているときに、当のセレンディッパーである日比野さんから携帯に電話がはいる。11月19日に予定する「朝顔のロープ外し」の日のことについて、どうやらAha!があったようで、こんなことしたい!との提案電話。基本的に異論はなし。でも、調整しないとならないことが幾つか思い浮かぶ。詳細は明日の打ち上げの時に聞くことができるので預かりとする。それにしても思いついた時の日比野さんの行動はいつも素早い。それだけ間際とも言えるのだけど。その間際も火事場のバカ力効果を狙っての意識したものだからしょうがない。

セレンディッパーへの最初の一歩は、躊躇しない、億劫がらない、思いたったら吉日の行動力にあるかもね。でも、気付きと受容の展開もできないと。やっぱり場数かな。


書き込んでいるブログの背後でTAPメンバーのメールが飛び交っている。あっ、携帯にも伝言が入っている。要件了解しました。伝言の背後の賑わいが、まだまだ事務所がフル回転状況にあることを物語るTAP現場だ。ムリもない。明日の午後には招待者やプレスが取手入りし、夕方からはレセプション。まさに前夜。完全徹夜組続出だろうな。お疲れ様です。明日は伺います。

Posted by 森司 at 23:12 | 雑記帳











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