2019年06月15日号
次回7月1日更新予定

Dialogue Tour 2010

第2回:かじことhanareの公開交流会@かじこ|Kajico[プレゼンテーション]

須川咲子/三宅航太郎/小森真樹2010年09月15日号

twitterでつぶやく

プレゼンテーションディスカッションレビュー開催概要

 ダイアローグ・ツアー第二回は、新プロジェクトのスタートを目前にひかえたhanareの須川咲子氏をゲストに迎えた。収録場所は、7月から期間限定でオープンした岡山のゲストハウス「かじこ」。ホスト役のKajicoの三宅航太郎氏、小森真樹氏とともにちゃぶ台を囲み、須川氏が話すhanareとSocial Kitchenの構想に耳を傾けた。収録後、“Social Kitchen”は8月22日にプレ・オープンをはたし、9月15日に全フロアのオープンを予定している。

絶対毎週開ける、人が来ても来なくてもやる

須川咲子──まず、これがhanareのプロジェクトである喫茶をやっていた私の家です[図1]。「喫茶はなれ」は2006年4月にオープンしました。当時、私はずっと住んでいたニューヨークから京都に帰ってきて、京都精華大学でワークショップやレクチャーを企画する仕事をやっていました。そこでのレクチャーは300人くらいの大きな規模のもので、あと、沢山のお客さんを毎回呼ぶのも疲れるので、もっと小さい集まりがあったほうがいいなと思っていたことと、私は京都育ちなんですけど、7〜8年京都から離れていたので、なにかを一緒にやっていく人たちとのつながりをつくりたいという気持ちがありました。家を開けて待っていたら誰かが来てくれて、そこからいろんな話が生まれれば仲間ができるんじゃないかと思って、「じゃあ、喫茶やったらいいんちゃう」ということで、いまも現役メンバーでデザイナーの高橋由布子さんと料理を担当してくれている石田奈穂さんの三人で、毎週月曜日に家を開けて、ご飯をつくることから始めました。日本には文化施設とかと個人の家との間に位置するスペースがあまりないから、自分の家を開くことでそういう中間にある場所の実験をしてみたかったんです。あと、「食」は社会問題の実践とダイレクトに繋がっているから、たとえば遺伝子組み換えの話とか、日本で個人で有機農業をやっている人が食べていけない状況とか、肉食が中心になってしまって世界的に穀物の値段が上昇していることとか、小さな実践だけど、買って調理して食べるという日々のことで、すばやく実践に移すことができるなと。自分の家を週1回だけ開けて、パブリックでもないプライベートでもない空間をつくり出すことと、食を中心にもってくるということで、ただ繋がりをつくりたいということ以上の意味を出したいという目論みはありました。とにかく毎週一回開けて、なるべく近隣の食材を使ったものでメニューをつくる。開けるって言ったからには絶対毎週開ける。人が来ても来なくてもやる。それでどうなるか様子を見てみましょうと始めてみました。


1──喫茶はなれ

 これが2006年4月3日の記念すべき第一回目のメニューです[図2]。豚の角煮です。このときはかなり原価がかかっていますが、それでお金がなくなってしまったらちょっと続けられへんから、ある程度計算して1,000円とか2,000円くらいは毎晩残るようなメニュー設定をしないと駄目だねということになって、いまは当時よりも計算してつくっています。
 最初は人が来なかったですね。「来ないねー。なにか間違ってるのかな?」なんて話している期間がだいぶありました。ニューヨークから帰ってきたばかりで本当に友達が少なかったので、周りの知り合い20人くらいにメーリングリストで「明日のメニューです」とまず知り合いの第一レイヤーの人たちだけに送っていたんですね。「明日こんなメニューです。こういうこととか、話しませんか」みたいな。でも20人の人が毎週来れるわけがないから、「来ないね」っていう状態。でも人と一緒にやることの良さは、「食べよか、じゃあ」とすぐ私たちの飲み会にできる。美味しいものを食べて飲んで、「まあいっか、来週もまた頑張ろか」と。1年くらいはそういう感じでしたね。
 そんなことをしているうちに、私たちが直接知っているレイヤーの人たちが友達を連れてきてくれるようになりました。だんだん第2レイヤーみたいになって、その人たちがさらに第3レイヤーの人を連れてくる。そしてレイヤーを飛び越して人と仲良くなっていったりと、だんだんレイヤーが何層にも重なってきました。いまで4年半くらいですが、先週は本当に知らない人ばかりでしたね。住所も公開してないし、どうやって辿り着いたか不思議で、毎回こっちはニヤニヤしながら迎えるんです。そんな感じで、口コミと、メーリングリスト、ウェブサイトのみで、人がちょっとずつ増えていって、サッカー日本代表戦の日とかぶるとだめやけど、いまはもう人が来ないという日はなくなりました。最初メーリングリストで20人くらいだったのが、いまは300人くらいに「明日こういうメニューだよ」と送るようになりました。4-5年やったらだいたいこのくらい広がるのかという感じです。


2──喫茶はなれ第一回目メニュー

プレゼンテーションディスカッションレビュー開催概要

▲ページの先頭へ

  • Dialogue Tour 2010とは

須川咲子

1978年生まれ。hanareディレクター/ウェイトレス。ニューヨーク市立大学卒業。大学在学中から、フリーで写真展や、「Open Unive...

三宅航太郎

1982年生まれ。おもな活動に、「食事」の「おみくじ」=「おしょくじ」をつくっていくプロジェクト、顔面に建築を組み立てていく《顔面建築》、ヒ...

小森真樹

1982年生まれ。東京大学大学院博士課程。芸術社会学/ミュージアム・スタディース。論文=「日本における『アート』の登場と変遷」(2007)、...

文字の大きさ