大阪府は、20世紀後半に制作された作品を中心に、約7,900点におよぶ国内外の様々な美術作品を「大阪府20世紀美術コレクション」として所蔵しています。大阪府立江之子島文化芸術創造センター[enoco]では、このコレクションの魅力をより多くの人々に知っていただくため、年に数回企画展を開催しています。

昨年開催した展覧会「くりかえしとつみかさね」は大阪府20世紀美術コレクションのなかから作家の行為や思考の痕跡が目に見える作品をピックアップして紹介するものでした。集めることやつみ重ねること、繰り返しの行為などは、人間が根源的にもつ創作のよろこびのあらわれであるとも言えます。本展では大阪府20世紀美術コレクション作品に加え、大阪府委託事業capaciousの協力のもと、大阪府下で活動する5人の現代作家の作品をあわせて展示いたします。

アメリカの作家であり環境活動家、海洋学者でもあるレイチェル・カーソン(1907〜1964)は、晩年に出版を企画していた短編「センス・オブ・ワンダー」の中で、自然のなかで未知のものと出会ったときのよろこびや、生命の不思議を感じて驚嘆する感性を「センス・オブ・ワンダー(=不思議を感じ取る感性)」という言葉であらわしました。人間の営みとしての創造行為や表現活動のなかにも、わたしたちの「センス・オブ・ワンダー」を刺激する作品は多く見られます。本展がこの感性を取り戻し、人間の不思議な表現行為に光をあてるひとつの試みとなれば幸いです。