幼い頃から画家を志していた芹沢銈介。20代にはプロのデザイナーとして活動していましたが、30代に入り、師となる柳宗悦や沖縄の紅型に出会い、染色の道を志すようになります。1929(昭和4)年に34歳で染色家としてデビューし、翌年から型染を手がけ始めると、以後型染を中軸に据えて制作活動に打ち込み、豊かな作品世界を残していきます。デザイナーだった芹沢にとって型染は、全く新しい、可能性に満ちた世界でした。型染を新たな芸術のジャンルとして確立し、世界的に評価されるまでになった一方、量産を前提とした型染の特性を活かし、暮らしの中にも型染の魅力を広げました。
 1984(昭和59)年に亡くなるまで半世紀以上に渡って型染を追求し、色と模様の翼で新しい美の開拓者としての生涯を生きた芹沢。没後40年を迎える今年、初期から最晩年までの代表作100点でその生涯の足跡をたどります。

(出品協力:柏市、株式会社すずや)