本学看護学部教授・川久保悦子先生は、日本大学芸術学部在学中に銅版画と出会い、看護の道に進むまでのおよそ20年間、銅版画家として活躍していました。庭の草花や飼い猫の姉妹など、身近なモチーフをエッチングの線とアクアチントの面とで軽やかに表現し、日本版画家協会展、CWAJ現代版画展や個展などで作品を発表してきました。「版画をどう彫るかということより、絵をどういう風にしようか」ということに興味があると語ったように、濃密さを競うような銅版画らしさを求めない川久保先生の作品は、平面的で単純化された形の面白さ、かすれや濃淡のある伸びやかな線、心地よい余白に魅力があります。
この度の展覧会では、初期作から制作年順に作品を展示し、川久保悦子先生のもう一つの顔、銅版画家としての活動の全貌を紹介します。暖かな眼差しや自由な気分が感じられる作品をお楽しみください。