2024年11月08日掲載
比田井南谷
東京画廊+BTAP
- 会期
- 2024年10月05日~2024年11月16日
カルーセル
比田井南谷(1912~1999)は、「現代書道の父」とよばれる書家・比田井天来と仮名書家・比田井小琴を父母として、神奈川県鎌倉に生まれました。書学院所蔵の碑法帖に囲まれて育った南谷は徹底して古典書法を学びますが、書の可能性を模索するうちに、文字性を放棄し、「心線」の表現へと到達します。<心線第一・電のバリエーション>(1945年、千葉市美術館所蔵)は、父・天来の「行き詰まったら古に還れ」という言葉に従い、古文の古籀彙篇の「電」の文字から発想を得て生まれました。同時代の書家や洋画家に大きな衝撃を与えたこの作品は、書であるか否かという議論を引き起こしましたが、南谷の率いた前衛書運動はやがて現代書芸術に一時代を画することになります。
比田井によれば、書の芸術的本質は鍛錬された線に宿ります。伝統を逸脱したかのような、多様なマチエールを探求した実験的作品も、彼が生涯保ったこの信念に裏打ちされています。紙ではなくキャンバス、板、ファイバーボード、墨ではなく油彩、ラッカーなどを用い、ときには油絵具を塗った板を筆ではなく竹片やタイヤの切れ端で引っ掻くように書いたのも、素材に対する書線の優位を証明するためであったと考えられます。
比田井の作品は海外でも反響を呼びました。1959年11月、サンフランシスコのルドルフ・シェーファー図案学校に招聘され初渡米。ニューヨーク、サンフランシスコ、ワシントンにおける個展の開催、20校にも上る大学での書道史の講演、芸術家に対する書の指導など、書芸術の海外普及に全力を注ぎました。1964年にはニューヨークでクルト・ゾンダーボルグ(1923-2008)、ピエール・アレシンスキー (1927-)、ワラス・ティン (1929-2010)などと共同制作を行い、その際の大筆を使ったパフォーマンスは、記録映像として残っています。
比田井の活動はつねに、書とその他の視覚芸術の境界を越えるものとして展開しました。比田井が率いた前衛書運動は、第二次大戦後、世界各地で勃興し、相互に影響を与えあった芸術運動の一つとして捉え直されるべきでしょう。本展では1961年に西ドイツで開催された「現代日本書展」(フライブルク芸術教会主催)に出品された《作品60-1》(1956年)、1964年のニューヨークのMi Chou Galleryでの個展に出品された《作品 64-13》(1964年)など、比田井の海外での活動がもっとも活発であった時代の作品を紹介する予定です。
トークイベント:
東京画廊+BTAPで開催中の比田井南谷展の関連企画として、11月16日(土)にトークイベント「現代アートとしての書」を開催いたします。精神科医、現代アートコレクターの高橋龍太郎氏をゲスト、天来書院取締役会長の比田井和子氏を司会にお招きし、比田井南谷と東京画廊の出会いや、比田井の「線の芸術」が国内外に与えた影響、現代アートにおける書の位置付けについて語ります。皆様のご参加を心よりお待ちしております。
日 時: 11月16日 (土) 16:30 − 18:00
司 会: 比田井和子氏、
登壇者: 高橋龍太郎氏、田畑幸人
言 語: 日本語
入場料: 無料
場 所: 東京画廊+BTAP、東京
定員30名の予約制とさせていただいております。件名に「トークイベント予約」、本文に「(1)氏名、(2)電話番号」をご記入の上、下記までE-mailでお申し込みください。
E-mail: info@tokyo-gallery.com
*当日受付も可能ですが、先着順のためお立ち見になる可能性がございます。
- 展覧会名
- 比田井南谷
- 分類
- 企画展
- 会場
- 東京画廊+BTAP
- 会期
- 2024年10月05日~2024年11月16日 Googleカレンダーに登録
- 開館時間
- 火–土 12:00–18:00
- 休館日
- 日・月・祝
- 観覧料
- 無料
- 住所
-
104-0061 東京都中央区銀座8-10-5 7F
- 公式サイト
- https://www.tokyo-gallery.com/exhibitions/6187.html
- 公式SNS