サエボーグは、ラテックス製のボディースーツで自身の身体を拡張させて家畜等のキャラクターに扮しパフォーマンスを行ってきました。そして、農場や家という生活世界を舞台に彼らの役割を演じることで、生きることの関係や構造を開示してきました。
本展は、代表作である《Slaughterhouse(スローターハウス)》、《Pigpen(ピッグペン)》、《Pootopia(プートピア)》という、農場が舞台の中心となる作品で構成されます。そしてそこに、「Enchanted Animals(エンチャンテッド・アニマルズ)」(魔法にかかった動物たち)による新たな世界を立ち上げます。
会場では、動物たちの耳や尻尾などを身に付けて家畜に扮した鑑賞者が、会場に広がる農場世界に誘われます。その中で、寝転がったりしてのんびりと過ごします。時には、歌い、大きな声で鳴くことが、農場から聞こえる音や家畜たちの鳴き声で構成される音楽等の演出によって誘導されていきます。そして、鑑賞者自身が魔法にかけられたように家畜に変身し、演じることによって、無邪気な家畜の生に触れたり、同じ生き物として情を見出したり、あるいは解放された自分自身に出会えるような、舞台的空間を作ります。
そこで繰り広げられる各々の実践を通して、他者と共に生きる自らの価値観や生き方がつくり直されていくような一つの世界を創出します。[美術館サイトより]