リトグラフを中心に、平版での表現の可能性を探り、様々な作品を制作している長野県小諸市出身の版画家・田村文雄(1941~)。「余白はエロス」をテーマに制作される作品群は、日本独特の余白や間に特徴があります。
田村は東京藝術大学および同大学院に学び、修了した後は昭和45年(1970)にフィレンツェ国際版画ビエンナーレ展で大賞を受賞、昭和47年(1972)に東京国際版画ビエンナーレ展に出品するなど国内外の展覧会で活躍を続けています。さらに、昭和50年(1975)には女子美術大学専任講師に就任し、のち教授となるなど後進の育成にも努めました。
田村は、人間社会の虚実、矛盾、自己の内面と社会との繋がりを非日常的な物語性を持つ作品として描いています。本展覧会では、「現実を描写するのではなく、イメージによって現実を新たに見出す」という精神に基づいて生み出される作品の数々を紹介します。

同時開催
コレクション展Ⅰ 「ふしぎ」な美術
コレクション展Ⅱ 新・収蔵品展ー令和5年度収蔵ー