近年、絵画が規制概念や軽薄な表現が好まれ流行する中にあって、油絵本来の醍醐味である画家自身の葛藤から絞り出された重厚で艶の在る表現が陰を潜め、美術業界全般が痩せ細ってゆく現実に私たちは直面してはいないだろうか。
豊な創造芸術の究極は、自然界を貫く神秘的精神性に裏打された幽玄の世界であると想われる。観る者を誘う創造芸術の深淵こそが待たれている、と日々の創作で起る呼びかけである。     
Jotoku


2011年以来当画廊では6回目となる増田常徳展を企画致しました。
厳しい自然と向きあい、人間存在の深奥にまで掘り進むような増田先生の作品は、見る者の心に深く訴えてきます。
今回は東京・銀座の永井画廊さんとの巡回展となります。奇しくも永井画廊さんとは故・丸木位里・俊夫妻に関わる御縁があり、1995年に位里先生、2000年に俊先生がお亡くなりになった際、先代の永井巳喜男社長と共に膨大な数の遺作の鑑定評価をさせていただいたことは忘れられない思い出です。その後、東京の作家たちを中心に企画された「青木繁〈海の幸〉オマージュ展」でも三回にわたり永井画廊さんとの巡回展の一翼を担わせていただきました。
このような時代に、益々存在意義を感じさせる増田先生の作品を、東京又は京都で御高覧いただけましたら幸いに存じます。
ギャラリーヒルゲート

          
増田 常徳 Jotoku Masuda
1948 長崎県五島列島生まれ
1983 第18回昭和会展にて林武賞
1989 安田火災美術財団奨励賞展新作優秀賞  
1991 「現代日本絵画展」北京・紫禁城、招待(中国)
    「21世紀への旗手展」マンリー市立美術館 招待(オーストラリア)
2000 「自然との共生-世紀末を祈る in 野崎島を企画(長崎県)
2005 文化庁在外研修特別派遣、ミュンスター芸術大学在籍(ドイツ)
2009~高鍋町美術館(宮崎県)、丸木美術館(埼玉県)、佐喜眞美術館
   (沖縄県)、 深川市アートホール東洲館(北海道)、網走美術館
   (北海道) 等でJOTOKU展
2023 三良坂平和美術館(広島県)、田川市立美術館(福岡県)
    JOTOKU展開催


《ヒルゲート夜話市民講座》
★ 増田 常徳(画家)   「島は風の起点」   
5月31日(土) 18:00~19:30  ギャラリー1F
参加費1,000円(学生500円) 要予約(定員35名)

戦争や公害等、御自身で言われる「暗い絵」は何故か視る者の心を惹きつけます。この時代の中で今、増田先生が思われることとは?

★ご予約はメール又はお電話にて承っております。
ご来廊の際にスタッフへお申し出くださっても結構です。
※SNSのDMやコメントでのご予約は承っておりませんので、ご注意下さいませ。
皆様のご参加をお待ちしております。
mail : hillgatekyoto@gmail.com
tel : 0752313702