釉薬は「うわぐすり」や単に「ゆう」、また「くすり」ともよばれます。
釉薬をかけたうつわを高温で焼成すると、表面がガラス質の膜に覆われるため光沢が出て美しくなり、上絵付という更なる装飾の土台ともなります。
また吸水性もなくなるため、丈夫で汚れが付きにくくなるのも特徴です。
伊萬里焼で使用される釉薬は、主に四種類。
白い素地を引き立たせる透明釉、青緑色に発色する青磁釉、コバルト色の瑠璃釉、そして褐色に変化する鉄釉です。
ただし、これらの釉薬をかけたからといって、それぞれが同じ色に焼きあがるわけではありません。釉薬は成分のわずかな違いや窯の中の状態により、うつわの風合いを左右するデリケートなものでもあるからです。
今回の特集では釉薬の微妙な変化を味わっていただけるよう、筆による文様が少ない製品を中心に60点余りをご覧いただきます。