「うそをつくと地獄で鬼に舌を抜かれるよ!」子どもの頃にこんなことを言われたことはありませんか?地獄は仏教の伝来とともに日本にもたらされた世界観で、文学や美術に大きな影響を与えました。特に美術作品には、恐ろしい場面が描かれたものがあります。あわせて、地獄とともに語られる「極楽」にちなんだ美術作品も紹介します。地獄など死後の世界が表現されている仏像、絵画、典籍など約160点の文化財をぜひご堪能ください。
※絵画を中心に、展示の入れ替えがあります。なお、資料の状態など諸事情により展示内容が変更される場合があります。詳しくは当館ホームページをご覧ください。

●第1章 地獄ってどんなところ●
地獄という思想は、仏教の伝来とともに日本に入ってきました。平安時代になると、源信(恵心僧都)が極楽往生とともに地獄の様子を本格的に記した仏教書「往生要集」を著し、のちに絵画化もされ地獄像が広まっていきます。

●第2章 変わりゆく地獄●
16世紀に血の池地獄が登場するなど、バリエーションが増え、地獄像は変化していきます。熊野比丘尼による地獄極楽の絵解きで知られる「熊野観心十界曼荼羅」も複数展示します。また、地獄に落ちた男が登場する能楽「阿漕」も紹介します。

●第3章 閻魔様登場●
地獄の主神である閻魔王や関連する十王について絵画や彫刻で紹介します。東大寺(奈良県奈良市)所蔵の重要文化財をはじめとして、大小あわせて35体の木像を紹介します。

●第4章 救いの地蔵菩薩●
この世だけでなく、地獄における救済者としても信仰される地蔵菩薩を紹介します。快慶作の重要文化財をはじめとする全6体の地蔵菩薩像を展示します。

●第5章 あこがれの極楽浄土●
地獄とともに語られる極楽について紹介します。阿弥陀如来については、あわせて2体の重要文化財の木像、2幅の三重県指定文化財の絵画、約4m四方の巨大な絵画「当麻曼荼羅」を展示します。また、室町・戦国時代の葬送の様子を物語る津市指定文化財の野袈裟を展示します。