浜口陽三の銅版画作品《17のさくらんぼ》をよく見てみると、さくらんぼの背景には、縦と横と無数の色が交差しています。銅の表面を微かに彫り、そこにインクを詰めて刷った作品です。
20世紀後半、世界的に活躍した銅版画家、浜口陽三は銅版画の本場であるヨーロッパを中心に制作を続け、新しい技法と作風を生み出しました。
光と闇、やわらかさと静けさ、数えきれないニュアンスが、手作業によって表現されました。
この展覧会では作品の一番大切な色、黒をとりあげて、制作方法、表現力、タイトルの3つのポイントから作品の魅力に迫ります。