佐久地域ゆかりの作家・塩川高敏(1948-2017)の郷里で初となる回顧展です。
塩川は、幼少期を佐久地域で過ごしました。1973年、東京藝術大学大学院美術研究科油画専攻を修了した後は、母校の助手や美術予備校、カルチャーセンターなどの講師をしながら国画会に所属し活動します。2000年頃からは尾道市立大学の設立に携わり美術学部の構想、設計に尽力。同大学教授を経て2011年には副学長に就任し、2016年に病で役職を離れるまで教育の現場に立ち続けました。
塩川のライフワークとなった「浮游」シリーズは、20代後半から69歳で没するまでの約40年にわたって描かれました。塩川は、浮游というとらえどころのない感覚的な現象を確かなデッサン力と細密描写、優れた色彩感覚によって描きだし、空高く舞い上がるのではなく少しだけ浮いて漂うといった現代社会に生きる人間の心象風景にも通じる絵画世界を展開しました。
本展覧会では、代表的な「浮游」シリーズをはじめ、塩川が小学生で描いた油彩画から没年の2017年に制作した大作に至るまでの約70点と関連資料により塩川の活動の軌跡をたどります。