長野県北佐久郡協和村片倉(現 佐久市協和)出身の書家・比田井天来(1872-1939)。天来は、日本の近代書を切り開いた書家として知られています。日下部鳴鶴に師事して多くの碑法帖を研究した天来は、筆法を研究し、古典の臨書の重要性を説くなど、「現代書」の確立に大きな影響を与えました。  
天来はその生涯において多くの業績を遺していますが、その中でも特に注目されるのは、古法(俯仰法)の発見と現代書表現のパイオニアとなる弟子を多く輩出した点です。その系譜は、いまなお書道界に受け継がれています。
本展覧会は新佐久市誕生20周年記念事業の一環として、佐久市立近代美術館と佐久市立天来記念館の連携企画として開催します。佐久市立近代美術館では、佐久市立天来記念館所蔵の天来の作品と、佐久市立近代美術館および佐久市立天来記念館所蔵の天来の直門たち、そしてその流れを受け継ぐ書家たちの作品を展示します。佐久市立天来記念館では、令和6年度に天来記念館に寄贈された《龍跳》(1920)を軸として、新規寄贈作品を中心に天来とその妻・比田井小琴の作品、そして佐久市立天来記念館と佐久市立近代美術館所蔵の門流の作品を展示します。

【同時開催】
コレクション展 近代日本画から現代の日本画へ―日本美術院再興110周年を記念して―