海野光弘の10代の頃の作品を中心に展示します。彼は、中学1年の冬、木切れで制作した豆版画と200字ほどの小文で綴った、一冊の大学ノートを「版画日記」と名付けました。まるで映画のワンシーンのような余韻を与える、身の回りの何気ないひとコマを描いたこの日記には、後の版画家、海野光弘の、場面を大きく捉える「俯瞰の目線」や、冷静な「人間観察力」といった資質がすでに表れています。本展示では、海野光弘の最初期から充実期の作品まで、その足跡をたどります。海野光弘が描き続けた、詩情あふれる木版画の数々を、日記をめくるようにご覧ください。