ヨーロッパでは古くから絵皿を壁に掛けて楽しむ習慣があり、18世紀には板状の陶磁器に絵画を絵付けする、陶板が生まれたとされます。窯の中で色合いが変化してしまう絵具を思いどおりの色に焼き付けるには、経験によって培われる高い技術が求められました。しかし、絵具の退色や剥落が少なく、陶磁器素地の変質も生じにくい陶板は、長年にわたって鑑賞することが可能です。日本でも明治時代になると、輸出用の陶板が盛んにつくられました。難しい磁器製の板の制作は瀬戸が得意とし、特に三代加藤善治は、5ミリ前後の厚さしかない長大で平滑な磁器の板を歪みなく焼き上げ、絶賛されたのです。
 年月を経ても色褪せることのない陶板の美をお楽しみください。