尼子騒兵衛の作品『落第忍者乱太郎』は、忍術学園で学ぶ忍者のたまご“忍たま”たちをはじめ、個性豊かなキャラクターたちが繰り広げる、にぎやかで愉快なドタバタ劇が魅力のギャグ漫画です。子どものころから人を笑わせることが大好きだった尼子にとって、漫画は「面白いことを伝えるための手段」でした。実は、『落第忍者乱太郎』が誕生する前からギャグ漫画を描き続けており、雑誌への投稿も行ったりしていましたが、一貫して「古典落語や松竹新喜劇のように何度見てもおかしい」を追求してきました。また、2004年から2007年にかけて出版された『らくご長屋』(文 岡本和明、ポプラ社・全10巻)では、テーマごとに有名な古典落語を簡潔にまとめた作品に挿絵を担当し、その世界観を豊かに彩りました。また、時代考証を大切にする尼子は、乱太郎たちが生きる室町時代とは異なる江戸時代の風俗についても丁寧に調べ、表現しています。
 本展では、『らくご長屋』に掲載された古典落語の世界を挿絵原画から紹介します。さらに、ギャグ漫画としての『落第忍者乱太郎』に焦点をあて、キャラクターの魅力やセリフ・言葉遊びなど、笑いのエッセンスが詰まった場面も原画でご紹介します。尼子騒兵衛のギャグセンスの源泉、ページをめくるたび何度でもくすっと笑える。そんな魅力をぜひお楽しみください。