中国で生まれ日本に伝わった硯は、すでに千三百年以上の長い歴史をもっています。その間、材質は石や陶磁器、形は円形や長方形、手に乗るものから数十㌢を超える大きさ、龍・鳳凰、梅・竹などの装飾が施され、色々と変化して「和の硯」は丸みと温かさを加え、優美で雅趣をもった姿になりました。
 硯は墨を磨り、その善し悪しを決める道具です。できた墨は古代より生活の中にあって記録・伝達の役割を果たし、同時に表現を意識し芸術性を生みだしたのです。また、身近にあるがゆえに、硯自体にも愛玩性が芽生え、カッコイイものや可愛い装飾的なものを作り出すことになります。
 本展では、硯の中でも日本の硯、「和硯」に注目し、その魅力に迫ります。國學院大學で教鞭をとられた故佐野光一教授が蒐集した純国産千五百面の中から厳選した二百余面、江戸時代から現代のものまで、全国二十六産地の硯が並びます。日本の石硯について、ここまでの種類と点数をご紹介する展覧会は国内初となります。ぜひ「和の硯」の世界へ足をお運びください。