写真家GOTO AKIは、自然風景を「記録」としてではなく、身体を通して経験される空間の感覚として捉え直す試みを続けてきた。本展は、最新写真集『terra | Landscape Topologies(風景のトポロジー)』(赤々舎)の出版を記念して開催される。2019年の写真集『terra』以降、GOTOは火山地形、海中の山、水中洞窟、湖底に沈む森など、陸上と水中を横断しながら撮影領域を拡張してきた。歩き、立ち止まり、潜るという身体的行為を通じて風景と関わるなかで、上下・遠近といった空間認識は揺らぎ、光・水・地形の運動そのものが像として立ち現れる。
 本展では、線として知覚されるイメージと面として広がるイメージの関係を軸に作品が構成される。写真は単独の記録としてではなく、連なりのなかで相互に作用しあいながら空間的な感覚を生み出す。その構造は、画家ハンス・ホフマンの「プッシュ・アンド・プル」理論に通じる視覚的な緊張と呼応を内包している。
 GOTOが提示する「風景のトポロジー」とは、距離や位置関係が変化しても失われない、身体と風景との関係性のあり方を指す。写し出されるのは目に見える風景ではなく、自然との接触のなかで身体を通過した感覚の痕跡だ。イメージが情報として瞬時に消費される現代において、本展は、光や揺らぎに静かに触れる経験を通じて、写真を見る行為を身体的な営みへと開いていく。