千總ギャラリーはこのたび、長沢楓の個展を開催いたします。
民藝品や絵画に見られる動植物などのモチーフを手がかりに、形や色彩を抽出して作品へ昇華させる長沢。そのまなざしは、特定の作者性や完成された美よりも、むしろ多くの人の手を経て反復されながら受け継がれてきたイメージへと向けられています。

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スタジオから少し歩いたところで、月に一度蚤の市が開かれている。この町の喫茶店や飲食店では、きっと蚤の市で見つけてきたのではないかと思われる食器をよく見かける。収集家でなくても、人びとの生活には気に入った古い道具を集めて使うという習慣が根付いているのだろう。
私の絵もまた、生活と近い距離にある。見慣れた鳥や植物を描くことは新しいことでも特別なことでもないけれど、私と私以外の気配をこれらの絵画は共有する。
長沢楓

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千總ギャラリーの2026年のテーマ「ほどいて、束ねる」は、既存の美や価値をほどき、新たな創造へとつなげる姿勢を示しています。日常に息づく形を見つめなおし、自身の感覚を介してふたたび構築を試みる長沢の作品は、テーマと静かに共鳴しています。
長沢が生み出す、記憶や感覚をゆるやかに揺り動かすような作品を会場でぜひご覧ください。