野見山暁治(1920-2023)は、戦後の不条理な世界にあって人間の深い悲しみを表現し、9年に及ぶフランス滞在中に具象から抽象表現へと展開し、帰国後の70年代以降、どこかにある風景をさぐりながらも、たしかな心の中の風景を鮮やかな色彩とダイナミックな形象によって表現しつづけました。その旺盛で自由な創作をもって、20世紀後半から今世紀まで、日本の美術界においてユニークな位置を占め高く評価されています。大川美術館では、令和6(2024)年度に一般財団法人野見山暁治財団より、25点に及ぶ素描作品をご寄贈いただきました。この度の展覧会では、「空にあそぶイメージたち」というサブタイトルのもと、これらの素描作品に、各時代の代表的な油彩画、版画を加えた約40点によって、昭和戦中期から80年に及ぶ豊かな創作の軌跡を紹介します。
また、「特別展示」として、戦没画学生慰霊美術館「無言館」(長野県上田市、 1997年5月開館)の作品約30点を展示いたします。戦中期の体験を胸に野見山暁治が遺族を訪ね託された作品を通し、同世代の画学生たちへの思いと絆を再考します。