緻密な描線やストーリーテリングで、世界中の読者を魅了する漫画家・谷口ジロー(1947–2017/鳥取県出身)。日本では、ドラマ化された人気作品『孤独のグルメ』でその名を知る人も多いでしょう。しかし、彼の創作の魅力は、決してこの作品のみに集約されうるものではありません。

 デビューから約50年にわたる漫画家としてのキャリアの中で、谷口は、非常に多岐にわたる題材を描いてきました。信念をぶつけ合う男たちのドラマ、厳しい自然と対峙する人間の姿、動物たちのいのちの手触り、さらには時代の「思想」そのものといった抽象的な事柄、そして「歩く」「食べる」といった日々の何気ない営みなど、取り上げてきたテーマの幅広さには驚くべきものがあります。

 それは、限られた領域にとどまることなく、常に好奇心と探究心をもって新しいマンガ表現を模索し、卓越した描写力でそれを具現化し続けた――「マンガ」の可能性を生涯かけて切り拓き続けた姿勢のあらわれでもありました。

 本展では、そんな「開拓者」としての漫画家・谷口ジローの軌跡を辿ります。時を経ても色褪せることのない谷口の作品世界を、ぜひご体感ください。