この度、CALM & PUNK GALLERYでは、小林椋 個展「U魚」を開催いたします。

小林は、目的を持たない動作を反復するキネティックな作品を制作してきました。本展では、リサイクルショップやインターネットオークションなどで用途がわからない機械や装置を収集し、その基盤や内部構造にほとんど手を加えずに、自作の容器へと移し替えた「動かない」作品のシリーズを中心に構成されます。これは、小林が初めて自らの制作に「彫刻」という語を導入したものであり、造形的実践としての側面をあらためて浮かび上がらせる試みでもあります。

機械とは本来、何かの目的を持つものであり、それはハイデガーの言う道具的連関の中においてこそ「〜のために」使用されます。しかし、詳細不明となったこれらの機器は、その連関から逸脱し、いまや無用の機構として宙吊りにされています。目的のネットワークから抜け落ち、機能を宿しながらも、もはや役に立たないものとして放置された機械たち。小林はそれらを容器の内部に包み隠します。その行為は、まさに「秘匿の技術」としての彫刻にほかなりません。

内部では、基盤の位置関係や配線の長さが容器=彫刻の形態を内側から決定します。また、一度取り外され、ばらされた基盤や配線は元通りに再接続され、機能そのものは保持されたまま封じられます。だが、そこにあった「目的」はすでに失われており、彫刻はあたかもその機械たちのための墓のようでもあります。それは、無用へと還る物質でありながら、なおも機能の可能性を秘めた器でもあるでしょう。

廃棄寸前の機械や装置を収集しながらも、サステナビリティや再利用の文脈として扱うわけではなく新たな関係性を思弁するためのインターフェース=“彫刻”として提示しています。

本展のタイトルである「U魚」は、特定の意味や機能へと回収されることのない曖昧な輪郭を示唆します。それは、目的から解放された機械たちが漂う状態であり、関係性が立ち上がる直前の不確定な場ともいえるでしょう。本展において提示される彫刻は、内と外、機能と形態、可視と不可視のあいだに横たわる緊張を孕みながら、私たちに静かにその在り方を問いかけます。ぜひご高覧ください。