写真表現、デジタルファインプリント、そしてモニター展示の 新たな可能性を探るプロジェクト展示。
制作プロセスや研究的視点を交えながら、 新しい鑑賞体験を提示します。
共催:ブルームギャラリー

■出展作家
【林 直 (はやし ただし)】
京都生まれ。
大阪芸術大学写真学科を卒業後「東川町国際写真フェスティバル」の企画運営の補佐。

その後家業の写真館を経営、京都国立近代美術館客員研究員を兼務ののち、現在は林写真館のほか、大阪芸術大学特任教授、同志社女子大学やニコンカレッジの講師として活躍中。

国内外で写真展多数開催。著書に「みつめる写真舘」。

【北 義昭(きた よしあき)】
大阪府出身
1988年 日本写真映像専門学校卒業後、フリーランスとして活動
1987年より国内を旅し、1991年以降は海外で撮影を続ける
2002年 日経ナショナルジオグラフィックコンテスト(日本語版)グランプリ受賞

・主な個展
「Animals」(Gallery ississ / 京都)
「Ninos」(大阪、ニコンサロン )
「Eyes」(Gallery Illum / 韓国・ソウル)
「Primal Mement」 Photo Gallery International(東京)
その他多数

・主なグループ展
Bravo Beijing Olympic(Free Tibet)展(ARTBIT GALLERY / 韓国・ソウル)
art-fair “art KARLSRUHE 2010(ドイツ)(Galerie pack of patches)
“FOREIGN AFFAIRS,” Hampden Gallery,  マサチューセッツ アメリカ
その他多数

・コレクション
清里フォトアートミュージアム
“The easten present age art exhibition,” 北京中国
“Global Art Festival,” インド

・主なアートフェスティバル参加歴
韓国:水原国際写真フェスティバル、PyeongChang Biennale、ソウル・フォト
中国:第4回大理国際撮影大会(Dali International Photography Exhibition)、上海アートフェア
スイス:バーゼル
アメリカ:ニューヨーク SCOPE、シカゴ・アートフェスティバル、バーモント・アートフェスティバル
台湾:台北写真フェスティバル
フランス:パリ・アートフェア

原始の記憶
私の創作活動の核となるコンセプトは「原始の記憶」である。これは、個人的な記憶を超え、時間そのものを具現化することを目的としている。風や水の侵食による地形の変容、動物の皮膚の質感、人間の肌に刻まれる皺や傷など、作品に登場する要素はすべて時間の積み重ねを象徴し、変化と継承のプロセスを示唆している。
時間は、記憶の儚さとその持続的な力を示す重要な要素である。長い年月をかけて風化する風景や自然の表面には、冷徹な変化の中に温かさが宿る。これらの表情は単なる物質の変化にとどまらず、生命や自然の息吹を感じさせ、風景そのものがまるで生き物のように見える。
本作品では、モノクローム表現を選択することで、色彩を排除し、普遍性を強調している。光と影、形のみを残すことで、時間と記憶が交錯する空間を創出し、観る者に深い思索を促す。光と影の対比は、過ぎ去った時間の流れを映し出し、風景と生物の記憶との関係性を問いかける。記憶の痕跡は風化し、輪郭が曖昧になりながらも、時間の中に何かを遺し続けていく。
作品に登場する子供の瞳には、人類の集合的な記憶が宿っている。その眼差しは、現代の時間軸を超越し、太古から続く存在の本質を映し出す。子供の表情と瞳は、「忘却」と「継承」の二重性を象徴し、時間によって削ぎ落とされながらも、なお残り続ける記憶を物語っている。風化する遺跡、動物の皮膚、子供の表情には、時間を超えてなお刻まれる痕跡が見える。人間は何かを失いながらも、同時に何かを受け継ぎ、記憶を未来へと繋げていく存在である。
私は常に「記憶とは何か?」という問いを投げかけている。記憶は個人的なものなのか? それとも集合的なものなのか? 過去はただ風化していくのか? それとも私たちを通して生き続けるのか? 少女の瞳の奥に宿るものは、単なる消えゆく記憶ではなく、受け継がれる意志である。これは、人類の存在の根源を示唆する「光」そのものなのかもしれない。
本作品では、時間と記憶の本質を探求し、モノクローム表現を通じてその普遍性を強調している。風景、遺跡、動物の皮膚、子供の表情に刻まれた痕跡は、私たちが忘れ去ったとしても、時間の中に遺り続けるものである。作品が観る者にとって、記憶と存在の意味を再考するきっかけとなれば幸いである。