我が国の代表的な工芸品である「日本刀」は、平安時代半ばの10世紀頃に誕生したとされる。その発祥と展開に関する研究は、鎌倉時代の刀剣書に遡る蓄積があり、刀工の系譜や位列、作風に関する知見が記録されてきた。また、安土桃山時代になると、茶道具の扱いに影響を受けたものか、刀の優品を「名物」と愛でる風が興り、その贈答が武家社会における秩序形成の一端を担うようになる。そして近代以降は、廃刀令によって武器としての役割を終えた刀を「美術品」と位置付け、実証的な歴史学の方法論を加味した刀剣研究が盛んとなっていった。更には、考古学・文化財学的な観点から、日本刀の起源や、製作技術の実態を解明しようとする学際的な研究も行われている。
 そこで今回は、この國學院大學の教壇において最初に刀を論じた人物であり、かの名刀「山姥切國廣」を見出したことでも知られる杉原祥造の没後100年を記念し、刀剣研究の今昔を物語る展覧会を開催する。連綿たる日本刀の歴史を顧み、刀剣研究史における院友研究者らの足跡を辿るとともに、理化学的分析を含めた最新の研究成果を紹介する機会としたい。