世界最初の被爆地である広島市は、世界の恒久平和と人類の繁栄を願う「ヒロシマの心」を、美術を通して世界へ発信することを目的に、1989年にヒロシマ賞を創設し、3年に一度授与してきました。広島市現代美術館では、その第12回ヒロシマ賞の受賞者となったメル・チンの受賞記念展を開催します。
メル・チン(1951–)は、環境問題をはじめとする複雑な社会的課題に動機づけられたアイデアを、既存のカテゴリーにとらわれない独自の方法によって表現してきました。彫刻、ドローイング、絵画、ビデオ、アニメーション、ビデオゲームから、大規模な公共インスタレーションに至るまで、ユニークで幅広い作品群は、多様な背景を持つ人々を惹きつけ、社会への関心を喚起してきました。また、地域住民との協働や科学的なアプローチを取り入れた長期プロジェクトを展開し、アートがいかに社会的意識と責任を喚起しうるかを探求してきました。日本で初めての個展となる本展は、これまでの代表的な作品を通してメル・チンの活動を紹介するとともに、ヒロシマのために制作された新作を展示し、アートによる社会変革と自己変容の可能性を提示します。