小杉放菴(1881~1964)は、栃木県の日光に生まれ、五百城文哉や小山正太郎に学び、文部省美術展覧会(文展)で三年連続受賞を果たすなど、近代洋画壇にその名を刻みました。フランス留学の後には、日本美術院洋画部や春陽会の設立を経て、やがて日本画へと制作の中心を移します。花鳥画や古典を題材とした作品を中心に独自の境地を築く一方、短歌や書にも優れた才能を発揮し、「新文人画」とも称される豊かな芸術世界を展開しました。

 戦後は新潟県の赤倉(現在の妙高市大字田切の新赤倉温泉区)の山居「安明荘」に暮らし、妙高の自然を愛しながら創作を続け、高田(現在の上越市高田地区)をたびたび訪れて写真家・濱谷浩や陶芸家・齋藤三郎などの上越地域ゆかりの文化人とも交流を深めました。

 本展では、初期の洋画から晩年の日本画までの代表作をはじめ、短歌や関連資料もあわせて展示します。赤倉での暮らしや高田での交流を示す資料を通して、放菴の多彩な魅力とその「こころ」を紹介します。
(協力:小杉放菴記念日光美術館)