時間は目に見えずとも、静かに積もり、私たちの中に痕跡を残してゆきます。
本展《しろきうみへ》は、山本 基がこれまで約30年にわたり取り組んできた「記憶と時間」を主題とする作品群を、作家の原点である尾道という土地で振り返る回顧的な展覧会です。 初期の油彩から、塩による大規模インスタレーション、さらに2024年の能登半島地震で倒壊した作品の再構築までを含め、作家の人生と表現が交差する「記憶の積層」を空間的に体験する構成となっています。
白は、失われた存在への静かな応答であり、受け入れがたい時間に対するひとつの姿勢でもあります 。“白き海へ”というタイトルは、記憶と祈りがやがて還ってゆく場所としての海、そして その土地・尾道への想いを重ねたものです。 本展が、鑑賞者それぞれの記憶と静かに響き合う場となることを願い展覧します。