昭和5年(1930)に神奈川県立金沢文庫が開館してまもなく、称名寺から大量の中世写本が発見されると、未知の文献に大きな期待を寄せた仏教学者が次々に金沢文庫を訪れました。そこで彼らは、多くの写本に残された「湛睿」の名を目にします。それまでほとんど知られていなかった湛睿という僧侶の研究は、ここから始まりました。
 湛睿は関東を拠点としながら東大寺や久米田寺などでも学んだ僧侶で、多くの著作を残しています。鎌倉幕府滅亡後の動乱期には称名寺三世長老となり、称名寺の存続に尽力しました。本展では、称名寺聖教の発見と研究の歴史をたどりながら、世に埋もれた学僧であった湛睿の生涯と思想を紹介します。