杉浦隆夫はこれまで鉛筆、はりがね、ブロンズ、蛍光灯、発泡スチロールの玉、生きている人間などいろんな素材を作品に使ってきた。並べた素材をみても、そんなのみんな使ってるじゃん、と思われるかもしれないが。ほかのものと組み合わせたりはしないし、曲げたり、つないだりするだけであまり手は加えない。単純なつくりなのだが、いつもギリギリのところにあって、決して本質的には単純ではない。今回の個展では、陶芸に使う粘土を手のひらや指を使ってひねってつくりあげた造形が9体床置きされていた。色も土のままで、彩色はほどこしていない。「触って見る」ということがサブタイトルになっていて、手にとると、作家の手の跡をたどることができる。手にした後、それぞれの置き方によってさまざまなかたちに見える。 [6月5日(月) 原久子] 動物や人物を思わせる、でもなんだかよくわからないかたちの陶を焼きしめた小品。 [6月10日(土) 村田真]