特別なフォルムを与えるというより、どちらかと言えば単純なカタチをつくる。骨格を格子状にして円筒形のものなどを粘土で丹念につくっている。窯のなかで熱を加えると、粘土は重力に従い下へ崩れるようにカタチを壊してゆく。錆色に仕上げているので、鉄の作品にもみえる。床置きの作品に、U字の杭が打ち付けたようになっていたが、実はこれも陶素材。軽いものを重くみせているわけだ。同行したロンドンから来たテレビ取材のスタッフは、これを知って、いきなり作品に対する見方を変えた。ちょっとこれには、笑ってしまった。 [9月6日〈水〉 原久子]