Mar. 11, 1997 | Apr. 15, 1997 |
Art Watch Index - Mar. 18, 1997
【フィッシュリ&ヴァイス《In a Restless World》 at Wexner Center for the Arts, Ohio, U.S.A.】 ………………●四方幸子
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《In a Restless World》
巡回展
Ein Unfall
The Way Things Go
Son et lumiere
Surrli
Peter Fischli David Weiss: In a Restless World
ArtistGuide: Peter Fischli / David Weiss http://www.artistguide.com/ artists/fischli_peter_ _weiss_david.html
FISCHLI AND WEISS
Wexner Center for the Arts
San Francisco-Museum of Modern Art
The Institute of Contemporary Art, Boston
Kunstmuseum Wolfsburg
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フィッシュリ&ヴァイス ●四方幸子
日常のドラマの虚無性
日常の事物および世界は、それがあまりに 自明である(かのように無意識化されている) がゆえに、わたしたちにあえて強列な印象や驚きをよびおこすことがほとんどない。しかしそのような驚きが、日常の襞の中から突如浮上しはじめ発見にいたったときの喜びはひとしおだろう。 レストレスなオブセッション
けっして大規模ではないものの、フィッシュリ&ヴァイスの70年代から現在までの作品が紹介されたこの展覧会では、さまざまな角度から扱われた日常的な事物もしくは風景があらわれる。キッチンやピーナツなどをモチーフにした粘土細工や彫刻、椅子やビン、ソーセージなどを組み合わせたりストーリー仕立てに構成した写真(時に大仰なタイトルがつけられる)など、どうしようもないほどバナルな即物性によるペーソスとドラマが結果的にかもしだされる(ことがねらわれている)。あたかも神が舞い降りるように、意味が宿る(ように思われる)一瞬である。胸あたりまである大きな壷の内部には、だれしも世界や人生に関してふとわきおこるモノローグとしての問い(「ワタシはみんなに好かれてる?」など)が、底を中心にいくつも渦巻くように書かれている。それはまたプレーヤー上のレコードの回転や、えんえんと穴の中をめぐっていくのみの映像へと変奏される。つねに転移によって影響が連続していく「事の次第」の世界。ヴェニス・ビエンナーレのスイス館で発表された、多くのモニターによるさまざまな日常の光景(そこでは表面的な差異のむこうにすべてが反復的で等価的なものとしてあらわれる)の脱中心性。 暴露される世界の無意味性
フィッシュリ&ヴァイスはまったく関係のないものを恣意的に組み合わせることによって、そこに一瞬のスパークをもちこむ。あくまで冷静な、事故や出会いの制作である。 [しかた ゆきこ/美術批評家]
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