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ArtDiary ||| 村田 真のアート日記
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3月18日(水)

企業メセナ協議会主催のセミナーのため東京都現代美術館へ。これは、『季刊メセナ』誌の「おすすめ旬アート」欄の執筆者を講師に仕立て、そこで取り上げた催しについて語らせようという企画。前号で河原温展について書いたぼくに出番が回ってきたってわけだ。受講者はメセナの会員をはじめ約20人ほど。
 前半は、同展担当者の南雄介学芸員の解説で展覧会を見て回り、後半は、矢口國夫学芸部長に河原温のことや美術館のことについて対談……するはずだったのが、矢口ブチョーがシカトして出張してしまったという。しかたなくっつったら失礼だが、南氏に話を聞く。南氏のいう「河原温=旅する芸術家」の視点は示唆的だ。これを「芸術家=旅人」に読み替えれば使えるぞ。いただき。
 学芸員室でお茶してから、新宿文化センターへNIPAF98(第5回日本国際パフォーマンス・アート・フェスティバル)を見に行く。すでに半分は終わっていたが、武井よしみちがそのキャラで笑わせてくれた以外、エンタテインメントとして楽しませるわけでも、芸術としての感動を与えてくれるわけでもなく、一言でいえばキビシーものがあった。主宰者の霜田誠二氏自身「パフォーマンスを見る行為は修行に近い体験だ」と語ってたけど。

3月27日(金)

先日、ニューヨークに10年ほど住んでいた渡辺肇というカメラマンから、会いたいという電話があった。話を聞くと、アーティストの中村政人らと5〜6人で上野にコマンドNという事務所を構えたという。その話なら別ルートから聞いてて、事務所も見たいし中村君にも用事があるしで、今日行くことになる。
 事務所は築数十年て感じの、はっきりいって薄汚いビルの地下。地下だから窓はないけど天井は高く、壁を真っ白に塗ってあるので実際より広く感じられ、5〜6人なら十分すぎるほどのスペース。また1階には4畳半ほどの広さの展示スペースも借りているので、これから目の離せない場所になりそうだ。
 中村氏に「美術と教育」についてインタビューした後、渡辺氏と歩いて上野の森美術館の「VOCA展」オープニングへ。この展覧会は欠かさず見てるけど、オープニングに出るのは初めて。これもカタログをもらうため。おーいるいるチェンチェー方が。しかし、やっぱ作品が見れないなあ(おっと《ら抜き表現》との表示が……余計なお世話だ)。
 パーティー終了後、資生堂の樋口氏、ギャラリーQの上田氏、それに渡辺氏の4人で、上野駅地下の樋口氏いわく「寅さんがいかにも行きそうな大衆食堂」で飲む。

3月31日(火)

再び「VOCA展」を見に上野の森美術館へ。別に気に入ったわけじゃなく、レビューを書けといわれたもんで、今度はじっくりと。でも実は今日の本命はこれじゃなく、このあと行った東京国立博物館の「近代日本美術の軌跡」展のほうなのだ。
 こちらは久々に見ごたえのある展覧会だった(よかった、「VOCA展」を先に見といて)。日本美術院創立100周年記念ということだが、出品は第2次大戦まで。つまり院の前半50年史をたどるもので、これは正しい選択だ。西洋と東洋、伝統と近代の視線が交錯する中で日本画の悪戦苦闘ぶりがうかがえて、本気で笑える。これに比べりゃ戦後の院なんか笑うに笑えないもんね。「VOCA展」も100年後にこうした記念展を開けるのだろうか。「日本・現代・美術の軌跡」展なんてね。けっこう笑えそうだ。
 上野の山は平日の真っ昼間だっちゅうのに花見客でにぎわってました。

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