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urbanism
ふたつの摩天楼都市サヌアとシバーム
イエメンの伝統的都市空間
イエメンの都市 サヌア /シバーム
シバーム
ワディごしにシバームを眺める
槻橋 修

シバーム・アル・ハダラマート

一方、「砂漠の摩天楼」と称されるシバームは、旧南イエメンの東部に位置し、東西にのびる広大な砂漠地帯ワディ・ハダラマートの交易の中心として栄えた。ワディとはアラビア語で河を意味するが、その名の通り、この砂漠地帯は標高およそ350mの広大な台地が、長い年月の間に浸食されてつくられた、幅2km、長さ200kmにおよぶ谷底にあたる。普段は枯れているワディにそってできたオアシスに隣接して都市が築かれたのである。
 東西400m,南北300mの長方形の領域が城壁によって囲まれている。この壁は他部族の侵入を防ぐというよりも、むしろ雨期の洪水から都市を守るための堤防として機能したであろう。南東角にあるただ一つの城門をくぐると、内部には5つの広場と7つのモスクがあり、高さ30mにおよぶ5〜8階建の塔状住居は500戸以上にのぼる。一周しても30分もかからない都市エリアにおよそ7000人が住んでいる。日干し煉瓦でつくられた住居は、砂漠の強烈な日差しによる暑さを逃がすため、5階より上の部分が白いプラスターで塗られている。

hajara
マフラージ
シバーム都市図。
黒く塗りつぶされているのはモスク。
街路
街路は狭く、クルマは城門のところまでしか進入できない。
家畜である山羊は街路に放し飼いされている。
屋上テラスからの眺め
屋上テラスからの眺め。
白く塗られた上階部分だけが、一つの街並みを形成している。
上界と下界が水平に重なり合っている空間は、ハドラマートの地形とも相似する。
シバーム住居断面図
1 家畜
2 倉庫
3 リビング
4 女性の部屋
5 増築部分(子供のための部屋)
6 屋上テラス
シバーム住居断面図
『Wadi Hadramawt and the Valley of Shibam』より
写真:槻橋 修

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