reviews & critiques ||| レヴュー&批評 |
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ふたつの摩天楼都市サヌアとシバーム イエメンの伝統的都市空間 |
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イエメンの都市− サヌア /シバーム | |||
シバーム全景 乾期には枯れているワディをはさんで、手前に新市街がある |
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槻橋 修 | |||
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不連続な世界の暗示
集落をもとめて旅を続けると、人間の文化とは、おおよそ途切れることなく滑らかに連続しているのだと感じるようになる。ところがイエメンという国は、このような感覚が怠惰な錯覚に過ぎないということを思い知らせる場所だ。すなわちイスラーム思想の原理をなすカラームにいう、「この世界に因果は存在せず、あらゆるもの、あらゆる時は、つながりなどなく、すべて神が直接つくり出したものである」という途方もない世界像が、現実であり得ることをわれわれに理解させてくれる。 |
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Sana'a, Aden, Shibam, Seyun, Tarim, Red Sea, Gulf of Aden, YEMEN..... |
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二つの摩天楼の、二つのつくりかた
サヌアとシバーム。千年以上の歴史をもつ二つの摩天楼都市は、ともにユネスコの世界遺産に登録され、アラブ世界唯一の共和国となった統一後のイエメンが、海外にむけてイメージづくりを行なっていくための2大看板である。同じ塔状住居であるから、これがアラブでもっとも長い歴史をもつイエメンの住まい方なのだと理解するのが普通だ。しかし訪れてみて驚いたことに、似ているのは塔状だということだけで、この二つの都市は根本的に異なっている。つまり、建築的にみて、たがいに別々に高層化を遂げたとしか思われないような決定的な相違が、両者に見られるということである。 |
haraz
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写真:槻橋 修 | |||
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