キュレーターズノート

松島俊介《VOICE-PORTRAIT 〜self-introduction〜》/小泉明郎《僕の声はきっとあなたに届いている》

住友文彦(ヨコハマ国際映像祭2009ディレクター)

2009年10月01日号

学芸員レポート

 ヨコハマ国際映像祭2009のオープンがひと月後に迫ってきた。
 前述したCREAMコンペティションの受賞作を発表した。1回目ということもあるし、いろいろな映像の分野が異種格闘技のように約1,000作品集まったので、予想以上に審査は大変な作業だった。審査もまったく専門を異にする人たちに2段階でお願いしたのだが、その議論はとても面白く、勉強になるものだった。それぞれの分野について持っている見識は当然のことながら、選考のプロセスが進むにつれ、分野を超え、現在の映像文化をめぐる意見が飛び交い、受賞からは漏れた作品も数多く議論の話題として取り上げながら、未来の映像を見据えた作品を選び出す作業が長時間続いた。参加していただいた審査員の皆さんには、本当に心から感謝を述べたい。
 最終的に、候補作品のなかでは地味な印象もあったが、VJ、メディアアーティスト、ドキュメンタリー映画監督による異色の組み合わせによる一次審査でも満票を集め、結果的に、今後の方向性を示していくうえでいまの情報化社会を映し出す観点もあることで松島俊介の作品が、二日間の審査を経て8月30日の深夜遅くに大賞となった。
 そのほか、8月29日には、無料で入場可能で、地元市民に愛されている公園のような野毛山動物園で映像祭のサテライト会場が先行オープンした。日本の若手アーティストが3組参加している。また、参加作家、上映作品も決まり、ウェブサイトへ徐々にアップされていく。大きなニュースとしては、ピピロッティ・リストがはじめて手がけた長編映画《PEPPERMINTA》のアジア・プレミアが決定した。
 会期中に実施するプロジェクトなどへ参加できる「サポート・クルー」の募集なども本格化してきているので、ぜひウェブで情報をアップデイトしていただきたい。

ヨコハマ国際映像祭2009

会場:新港ピア、BankART Studio NYK、東京芸術大学大学院映像研究科馬車道校舎、他サテライト会場
会期:2009年10月31日(土)〜11月29日(日)