キュレーターズノート

ヨコハマ国際映像祭のレビュー記事

住友文彦

2010年01月15日号

学芸員レポート

 京都芸術センターで「POINT──日韓若手アーティスト・批評家交流展」を開催しています。日本と韓国の若手アーティスト6名が参加しているのですが、1年半前にソウルで同じメンバーで展覧会を実施し、巡回というわけではなくまた新しい作品で参加しています。日本からは、藤井光、松原慈、橋本聡が参加していて、この同じメンバーで繰り返し行なうというのは、それぞれの考えがどんどん立体的に理解されていくプロセスのようなものに時間をかけられているようで興味深い体験でした。
 それと今年9月にソウル市美術館で行なわれる今年で第6回目の「メディア・シティ・ソウル」の企画に参加しています。ディレクターには韓国のアートシーンが国際的な評価を得るうえで重要な役割をはたしてきたキム・ソンジョン。それと、ヴェネツィア・ビエンナーレのドイツ館コミッショナーを2回連続でつとめ、ロッテルダムのウィト・デ・ウィスのディレクターでもあるニコラス・シャウフハウゼンと、ロサンゼルスにあるレッド・キャット・ギャラリーのキュレーター、クララ・キムが参加しています。すでに仕事をしてきたアーティストが重なるし、関心がすぐに共有できる世代も近いメンバーでもあり、とても楽しみです。かなり企画メンバーが若くなったこともあって、記者会見では、ソウルのアート関係者からどういうものになるか期待されているようにも感じました。

 いろいろと迷った末、今年は公立美術館の仕事ではなく、いましかできない仕事に取り組む時間を確保したいと思っています。もちろん、それだけだと生活していくのが大変なので、いろいろな仕事をしなければならないですが、これまでひたすら展覧会を行なうことに時間の多くが費やされ、折に触れ考えてきながらも実践できていないことに手をつけていきたいとも考えています。遅ればせながら、今年もよろしくお願いします。

POINT──日韓若手アーティスト・批評家交流展

会場:京都芸術センター
京都市中京区室町通蛸薬師下る山伏山町546-2/Tel. 075-213-1000
会期:2010年1月9日(土)〜24日(日)