アート・アーカイブ探求

田中訥言《百花百草図屏風》復古による独創──「吉川美穂」

影山幸一

2012年11月15日号

※《百花百草図屏風》の画像は2012年11月から1年間掲載しており ましたが、掲載期間終了のため削除しました。

伝承と創造

 「復古やまと絵派」に目が留まった。やまと絵風のきれいな色彩とフラットな画風が浮かんできた。また情報を継承と創造に役立てていく、という漠然としているが、しかし確固とした身体感覚が基底に流れている私は、伝承と創造の連環を歩み出した先導的な画派をイメージし、復古の背景や古来のやまと絵との違いに関心を抱いた。江戸時代の後期、田中訥言(とつげん)という耳慣れない絵師を祖とする「復古やまと絵」とは何なのか、田中訥言の作品を見ようと思い図録を開いてみた。
 金屏風に描かれた画面は琳派のように力強く華やかであった。訥言の代表作《百花百草図屏風》(徳川美術館蔵)である。平面でありながら奥行きを感じる美しい日本画。しかし、どこか私のイメージするやまと絵と結び付かずにもどかしい。この《百花百草図屏風》を所蔵する徳川美術館の吉川美穂氏(以下、吉川氏)に話を伺いたいと思った。吉川氏は企画情報部主任学芸員であり、論文「田中訥言と尾張のパトロン─田中訥言研究(一)」を発表するなど、訥言関係の書状などを読み解きながら訥言探究をしている。日本の現代美術を牽引してきた風土でもある名古屋の徳川美術館へ向かった。


吉川美穂氏

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