2019年06月15日号
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アート・アーカイブ探求

菅井 汲《SOLEIL BLEU(青い太陽)》──50メートルの意志「角田 新」

影山幸一

2013年10月15日号

菅井 汲《SOLEIL BLEU(青い太陽)》1969年, 235.5×236.0cm, キャンバス・アクリル, 広島県立美術館蔵
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空想のトンネル

 S字形が特徴的な菅井汲(すがいくみ)という作家がいる。日本国内よりおそらく海外の方がよく知られているのかもしれない。汲という名から女性を連想するが男性作家である。タブローと版画が主な作品、丸や四角の紙を貼り合わせてつくったポスターのような絵画は、鑑賞に時間を要さないと思っていた。ところが「50メートル離れたところから見ても菅井の作品だと理解してもらえる作品」という言葉を、広島県立美術館収蔵の《SOLEIL BLEU(青い太陽)》の解説文から発見した。
 明快な色彩と簡潔なフォルムを持つ大きな抽象画を屋外に展示して、山や海の風景と共に鑑賞する、と空想した。屋内にあって近づいて鑑賞するものと思い込んでいた絵が外に出ることで、人間が絵を見るのではなく、絵が人間を見ているという感覚が生まれた。遠くから絵に見守られているような不思議な感じである。さらに青い色面の形状がトンネルに見えてきて、トンネルを出た先の世界を想像した。
 《SOLEIL BLEU(青い太陽)》の解説文を書き、「菅井汲の求めた表現とその変遷について」という論文を書いた、広島県立美術館主任学芸員の角田新(かくだあらた)氏(以下、角田氏)に話を伺ってみたいと思った。角田氏は2012年4月より相互協力協定の人事交流として、広島県立美術館から静岡県立美術館へ出向し、上席学芸員を務めている。静岡へ角田氏を訪ねた。


角田 新氏

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