デジタルアーカイブスタディ
アイサミット2008 札幌 ──デジタルアーカイブの第2ステージ
影山幸一
2008年08月15日号
創造都市
世界中のクリエイティブ・コモンズ
(以下、CC)のリーダーを一堂に会した国際会議「iCommons Summit(以下、アイサミット)」が7月29日から8月1日の4日間、北海道・札幌市で開催された。著作権、IT、クリエイティブ、経済などの異なる分野の識者が、より創造的な社会とインターネットのオープンな情報共有のあり方について語り合う、アジアで初めてのアイサミットである。ボストン(アメリカ)、リオデジャネイロ(ブラジル)、ドブロブニク(クロアチア)に続いて、アイサミットは今回で4回目となる。
札幌市は、クリエイティブ・シティとして注目を集め、現在人口約189万人。全国5番目の人口を有する政令指定都市としては日本最北である。“札幌”という名前の由来は、市内に流れる豊平川をアイヌ語で、乾いたや大きいを意味する「サッ・ポロ」、あるいは湿原が広い川を意味する「サリ・ポロ・ペッ」からきているらしい。大地を身近に感じる札幌は、創造産業の進化とともに、世界とつながる紐帯(ちゅうたい)を構築しようと、インキュベーター施設として
2001年に「ICC(インター・クロス・クリエイティブ・センター)」を設立し、2006年には上田文雄市長のもと、「創造都市さっぽろ
Sapporo Ideas City」を宣言。クリエイティブなビジネス基盤を持つ都市として、イノベーション・創造・技術といった分野における世界拠点を目指す。また、市民が身近にデジタル文化を取り巻く世界の動向に接することができる機会として、CC運動を牽引する世界のリーダーが集まるアイサミットを札幌へ招致させるなど、情報・文化・産業の立体的な創造都市づくりを加速させている。
感じ合う国際会議
mixi やココログ、はてなのように、ユーザーが内容を生成していくメディアであるCGM(Consumer
Generated Media)や、CGMに向けてユーザーが制作するコンテンツであるUGC(User
Generated Content)など、ユーザー主体のインターネット状況へ変わりつつあるなかで、オープンソース指向であるCCの役割がますます問われてきている。
アイサミット札幌を主催するのは、CCの母体でもある非営利団体で、南アフリカのヨハネスブルクに拠点をもち、著作権に限らず上位概念にあたる知識やソフトウェア、文化など広く活動を行なっている
iCommons(アイコモンズ)である。共催は、札幌市と日本の著作権法を踏まえたSome
Rights Reservedを推進しているクリエイティブ・コモンズ・ジャパン
。
クリエイティブは、体感するものとの観点から、感じ合う国際会議として各会場ではコンサート、ワークショップ、パーティーなど、無料で一般が参加できるような多彩なプログラム
が組まれた。CCの今後に期待して毎日550名(海外200名、国内350名)以上集まったという。