ただいま、MMM(メゾン・デ・ミュゼ・デュ・モンド)では、artscapeと連携した企画「MMM × artscape ミュージアムグッズフェア vol.1」を12月25日(水)まで開催中です。 好評だった「artscape × MMM 全国の美術館学芸員とセレクトした 会話がはずむ もらって嬉しいミュージアムグッズ」の続編として、あらたな5つの館のグッズを取り寄せています。 標津サーモン科学館土門拳記念館仙台市博物館京都市動物園中原中也記念館、今回は博物館や動物園に焦点をあててみました。アート系ミュージアムのグッズとはどんなところが違うのでしょうか。今回もセレクトに関わっていただいたミュージアムグッズ愛好家の大澤夏美さんと一緒に各館の推しグッズを見ていきましょう。(artscape編集部)

体験を持ち帰る、本物が見たくなる、もっと知りたくなるグッズたち

標津サーモン科学館

[撮影:吉屋亮]

①大澤夏美さんのオススメ
鮭ポーチ(S)
1,320円(税込)

②グッズ担当 福地久美子さんのオススメ
カラーホルダー サケ
330円(税込)

全身ではなく、あえて顔だけを大きく配置したインパクトのあるデザインは、オスザケの迫力や力強さを感じるかと思います。A4サイズまでの書類を挟めるので実用的な使い方はもちろんですが、裏面は学名・英名が併記された分類分岐図がデザインされており、学術的な使い方もできます。きっと、サケの種類の多さに驚かれることでしょう。(福地久美子さん)

[撮影:吉屋亮]

大澤──カラーホルダーは専門性が楽しめるというところが、ミュージアムグッズのいいところですね。私はこの鮭ポーチがすごく好きなんです。いまのシーズン、北海道では筋子がめちゃめちゃ美味しいです。でも、東京だと手に入りにくいですよね。

──北海道だと普通のスーパーで筋子のおにぎり売ってますよね。でも、東京だと売ってても高い。

大澤──こういう会話が生まれるような、地方と東京の架け橋になるになるようなものを、今回紹介できたのが嬉しいです。水色の服着てこの鮭ポーチを肩に担いだら、鮭がのぼっていくように見えませんか? それを銀座でやりたくて。

[撮影:吉屋亮]

──私は鮭の表皮の模様を使ったマスキングテープも気になりました。

大澤──科学館で生体を見ていたら、こんな色だったよねってわかりますが、行ったことない人には、こんなに綺麗なんだって驚きがありますね。本物の生きてる姿を見たくなりますね。

標津サーモン科学館
住所:北海道標津郡標津町北1条西6丁目1-1-1
ミュージアムショップのサイト:https://shibetsusalm.base.shop/

土門拳記念館

[撮影:吉屋亮]

①大澤夏美さんのオススメ
土門拳の何んでも帖
1,760円(税込)

②広報企画担当さんのオススメ
豆本 土門拳『ぼくと酒田』
1,100円(税込)

③広報企画担当さんのオススメ
2025年土門拳記念館オリジナルカレンダー
2,420円(税込)

酒田が生んだ写真界の巨匠、土門拳。土門は昭和32年に酒田祭りを撮影するため、実に41年ぶりに故郷へ帰ってきました。そのとき撮影された写真や文章がぎっしり詰まった豆本。故郷への思い、懐かしい酒田の風景が心に沁みます。お土産にぴったりなサイズの豆本です。(広報企画担当)

土門拳は「ぼくは石仏が好きだ。なかでも、大分県白杵市の摩崖仏は好きで執念をもやした」と語っています。それほどまでに虜となった、今は見ることができない、崩れ落ちていた頃の大日如来坐像左半面を表紙にした2025年版のカレンダーが出来上がりました。その他、明日香にある石舞台古墳望遠や東北は岩手にある毛越寺大泉池離石島など、土門拳が愛した石仏の写真と文章もあわせてご覧いただけます。(広報企画担当)

[撮影:吉屋亮]

大澤──土門拳さんってすごく文章が上手で、写真家のなかでも屈指だと思います。写真を撮るという行為は何を撮るか撮らないかを決めるという判断だから、それが文章にも出てると思うんですよね。テーマの選び方、ピントの当て方がうまいです。この豆本でも、カレンダーでもそれを楽しめるのがいいですね。

──大澤さんのオススメは「何んでも帖」ですね。私も買ってみました。ところどころに、みっちりした土門さんのメモが入ってて。白ページには自分のメモが書ける。すると、土門さんと自分のメモが一冊のノートのなかでひとつになる!


[撮影:artscape編集部]

大澤──作家の文章と自分の文章が渾然一体になるという経験は、ミュージアムグッズでないとできないですね。土門さんは相当なメモ魔だったらしいです。いつ何時でもテーマやネタを探していた。ここまでやってたから、長く第一線で活躍されていたんですね。若い人に買って欲しいです。

土門拳記念館
住所:山形県酒田市飯森山2-13(飯森山公園内)
ミュージアムショップのサイト:http://www.domonken-kinenkan.jp/museumshop/

仙台市博物館

[撮影:吉屋亮]

①大澤夏美さんのオススメ
ハンカチ 水玉模様陣羽織
950円(税込)
※見本展示品のみでMMMでの販売はありません。

②グッズ担当さんのオススメ
ハンカチ 山形文様陣羽織
1,100円(税込)
※見本展示品のみでMMMでの販売はありません。

赤と黒の大胆なデザインが目を引く、伊達政宗の山形文様陣羽織をモチーフにしたハンカチです。このデザインについては、陣羽織のイメージに近づけるのか、ハンカチらしくアレンジするのか、館内で検討を重ねました。最終的に、陣羽織の魅力をストレートに伝えたい、との思いから、このハンカチが誕生しました。あなたもこのハンカチで、戦国武将気分を味わってみませんか。(グッズ担当)

[撮影:吉屋亮]

[撮影:吉屋亮]

大澤──アクスタ(アクリルスタンド)きましたね。前回、福岡市美術館さんの仙涯のアクスタがありましたが、引き続きミュージアムグッズとしてのアクスタブーム、どんどん広がりを見せているんですよね。今年は推しグッズやオタクグッズからの流入が激しい一年でした。よく考えたら甲冑って、こういう感じで展示室に並んでいますよね。アイテムとミュージアムの展示資料の親和性がぴったりはまっています。グッズは地方のミュージアムが持っている価値ある資料をアピールするいい機会なんです。

──この館は、ミュージアムの方と大澤さんのオススメが一致したんですよ。

大澤──だって、かっこいいですもん。最強にキメてます。

仙台市博物館
住所:宮城県仙台市青葉区川内26 仙台城三の丸跡
ミュージアムショップのサイト:https://www.city.sendai.jp/museum/restaurant/museum-02.html

京都市動物園


[撮影:吉屋亮]

①大澤夏美さんのオススメ
レッサーパンダ赤ちゃんのぬいぐるみ
2,640円(税込)

②東エントランス ミライハウス グッズ担当さんのオススメ
『ゴリラ日記』
2,640円(税込)

現在も京都市動物園公式ウェブサイト内に掲載されている「新ゴリラ日記」は、歴代の飼育担当が書いてきた掲示物やブログを継承したものです。2023年の開園120周年にあたり、京都市動物園にご監修いただき、一冊の本にまとめました。120ページを超える、内容も、重さも、ずっしりです。改めてご提供いただいたウェブ未掲載の写真も見どころのひとつです。(ミライハウス グッズ担当)

大澤──飼育係の方は絵が描ける人が多いように思います。

──動物のことをよく観察されているからでしょうか。

大澤──観察のための資料であっても、飼育員さんの描いた絵とか、撮った写真は見ていて嬉しくなる。

──そういうのだけ集めた展覧会がもしあったら……

大澤──見たいですね! それもミュージアムの大事な財産だと思います。アート系のミュージアムなら美術作品を大事にするように、動物園は動物を資料として大事にし、研究もしている。動物園もミュージアムなんですよ。

[撮影:吉屋亮]

──大澤さんのオススメはレッサーパンダのぬいぐるみ。まどろんでます。

大澤──動物園のぬいぐるみは飼育係の方が監修しているものもあり、色や形などが正確に再現されていますよ。だから、現地で観察しきれなかったところをぬいぐるみを買って、帰ってから見るというのがいいんです。「生き物ってすごい」ということが伝わるようにデザインされています。

[撮影:吉屋亮]

京都市動物園
住所:京都府京都市左京区岡崎法勝寺町岡崎公園内
ミュージアムショップ(ミライハウス)のサイト:https://kyotozoo-goods-miraihouse.shop/

中原中也記念館

[撮影:吉屋亮]

①大澤夏美さんのオススメ
詩集刺繍タオルハンカチ
800円(税込)

②広報担当 細田萌美さんのオススメ
オリジナルブックカバー
800円(税込)

③広報担当 細田萌美さんのオススメ
Tシャツ
3,500円(税込)

中原中也記念館開館30周年記念事業として、「中也の詩」をテーマとしたTシャツのデザインコンテストを実施しました。熱烈な中也ファンの方だけでなく、この企画をきっかけに初めて中也の作品に触れた方も。年齢も幅広く10〜80代の全国の皆様から461作品のご応募をいただき、多様な詩のイメージと表現を見せていただきました。最優秀賞(2点)に輝いた、中也の詩の世界を着ておでかけしてください。(細田萌美さん)

表紙に中也の詩に登場するモチーフがちりばめられたブックカバー。「サーカス」「月夜の浜辺」「春と赤ン坊」「夏の日の歌」……中也の作品世界を想像させます。裏表紙には中也のトレードマークだった帽子を、内側には中也の好きだったビールもこっそりプリントされています。やわらかめの帆布生地で、いつでもどこでも持ち歩いて、さりげなく中也好きをアピール! レトロな雰囲気で年齢を問わず、プレゼントにも喜ばれています。(細田萌美さん)

[撮影:吉屋亮]

──私、この中也の直筆の詩が書かれたマグネット、買いました。うちに帰って冷蔵庫のドアに貼ってみたら、以前別の美術館で買ったマグネットと並ぶことになって、それでやっとミュージアムショップで売られているマグネットの意味がわかったんです。

大澤──キュレーションができちゃうでしょ。

──そうなんです。私、冷蔵庫のドアにメモを貼りつける道具としか考えていませんでした。

大澤──SNSでやっている人、見かけます。私の本(『ときめきのミュージアムグッズ』玄光社、2022)のなかでもやりました。このマグネットのビジュアルは中也ファンの方たちの投票で決まったんですよね。文学館は熱烈なファンが集うサロンのようになっているのが面白いですね。サロンから次代の詩人が生まれたり、地元の文壇が活性化したり、地域に寄与していると思います。

──中也記念館は湯田温泉という温泉街のなかにあって、街中で足湯に浸かったりできるんですよね。大澤さんオススメのタオルはそのときに使えそう。

大澤──このブックカバーもそうですが、「さりげなくアピール」っていうのがいいですね。美術館のグッズだと作品をバーンって使いますが、文学館は作家の言葉をさりげなくグッズに載せる。このサコッシュには一行だけ「歌ふこと、歌ふことしかありはしないのだ。」、かっこいい!

中原中也記念館
住所:山口県山口市湯田温泉1-11-21
ミュージアムショップのサイト:https://chuyakan.jp/online-shop/

※本企画開催にあたり、ご協力いただきました多くの皆様に心より感謝申し上げます。

「MMM × artscape ミュージアムグッズフェア vol.1」
会期:2024年10月1日(火)~12月25日(水)
会場:MMM(メゾン・デ・ミュゼ・デュ・モンド)3階アートスペース(東京都中央区銀座7-7-4 DNP銀座アネックス)
休館日:日曜・祝日
*B1Fライブラリは、月曜日休館
公式サイト:
ホームページ https://www.mmm-ginza.org
X(旧twitter) https://twitter.com/mmm_ginza
YouTube「銀座MMMチャンネル」https://www.youtube.com/@ginzammm/featured

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