会期:2025/04/16~2025/07/06
会場:PLAY! MUSEUM[東京都]
公式サイト:https://play2020.jp/article/doubutsu/
百聞は一見に如かず、とはこのことである。剥製ではあるものの、動物の生の姿を間近で見られる貴重な機会だったからだ。本展が国立科学博物館とのコラボレーション企画と聞いて、納得。かつて同館が制作した「WHO ARE WE 観察と発見の生物学」の巡回展キットを用いて、PLAY! MUSEUMならではのユニークな内容に仕上げていたのである。
最初にヒツジやシカ、ウシなど角の生えた動物の剥製がずらりと並び、その動物の大きさもさることながら、角の立派さや形の違いに魅入ってしまう。これらは世界屈指の動物標本として知られる「ヨシモトコレクション」から選び抜かれたものだという。さらに目を引き付けたのは、引き出しが随所に設けられていた11のテーマに応じた展示台である。人は引き出しを見ると、自然と開けたくなる心理があるのか。私も手を伸ばしてそっと引き出してみると、そこには好奇心を刺激する標本資料が詰まっており、ワクワクが止まらなかった。
展示風景 PLAY! MUSEUM[撮影:三部正博]
展示風景 PLAY! MUSEUM[撮影:三部正博]
と、ここまでは巡回展キットによる展示であるが、本展ではさらに複数組のコラボアーティストによる5つの展示セクションがあり、最後には名和晃平や清川あさみ、ミロコマチコら9人のアーティストによる動物を題材にした既存の絵画や立体作品で締めくくられていた。5つの展示セクションのうち、「笑顔の森」では人の笑顔と、笑っているように見える動物の顔をとらえた写真が同列に並んでいて、観る者を幸せな気持ちにさせた。と同時に、人も動物の一種であることを思い知らされる。その中に鏡も混じっていたことから、自分自身も彼らの仲間であることをほのめかされる。「すばぬける!」では芸人で漫画家の矢部太郎が描いた一コマ漫画が展示されていて、ほのぼのとした笑いに浸ることができた。そして、ちょっとした驚きをもたらしてくれたのが「しっぽはすごい」である。ぜひガイド通りに、特製の椅子に腰掛けて念じてみてほしい。人と他の哺乳類との外見の違いのひとつが、尻尾の有無である。退化して失われたという尻尾が、人にも生えてきたら……なんていうかわいらしい夢想を叶えてくれる。
展示風景 PLAY! MUSEUM[撮影:三部正博]
展示風景 PLAY! MUSEUM[撮影:三部正博]
鑑賞日:2025/05/28(水)